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「オレはなんてバカなんだ」50歳ミケルソン、悲願の全米オープン初制覇に向け因縁の地へ
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2020/09/16 11:30
悲願の全米オープン制覇を狙うミケルソン。場所は14年前、苦汁を嘗めたウイングドフットGCだ。
72ホール目、勝ち急いだミケルソン
しかし、いざ戦いに挑んだとき、ミケルソンのショットは乱れに乱れた。とりわけドライバーショットは、フェアウエイを捉えることのほうが稀だと思えるほど最悪だった。
それでも彼は単独首位に立ち、1打リードで72ホール目を迎えた。どうしようもないほどのショットの乱れをショートゲームで補いながら辛抱強く戦っていた。
しかし、最後の最後に我慢ができなくなった。72ホール目。ミケルソンのドライバーショットは大きく左に曲がって、巨大なホスピタリティ・テントの屋根に当たった。ボールが落下したのはギャラリーで踏み固められた枯れ草の上。ライはさほど悪くはなかったが、前方の木がスタイミーで、直接グリーンを狙うことは、あまりにも無謀だった。
だが、勝ち急いだミケルソンはロングアイアンを握ってグリーンを狙った。結果、ボールは木に当たり、前進できたのは、わずか25ヤードだった。第3打はグリーン左サイドのバンカーにつかまり、4打目はグリーンを横切って逆側の深いラフの中へ。5打目のチップはカップをオーバーしてダブルボギー。
かくしてミケルソンは、手に入れるはずだった勝利を「僕は2位になると思っていた」というジェフ・オギルビーに差し出し、1打差の2位に甘んじた。
14年ぶりのウイングドフットでの挑戦
あれから14年が経過した今年、ミケルソンはウイングドフットを事前訪問することなく、いきなり挑もうとしている。コロナ禍の今年は無観客試合ゆえ、全米オープン・ウィークを迎えてから現地入りしても、ギャラリーや大勢のメディアや関係者に気を取られることなく練習に専念できると思っているのだそうだ。
だが、勇んで現地へ行かなかった理由は、それだけではないだろう。今年50歳になったミケルソンの心身は、言うまでもなく14年前とは異なる。