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「感動しすぎて、笑えてきます」里見香奈インタビューで溢れた“渡辺明愛”
text by
内田晶Akira Uchida
photograph byAi Hirano
posted2020/09/13 09:00
Numberの将棋特集ではページ数の都合で使用できなかった1枚。撮影中、里見女流四冠の笑顔は絶えることがなかった。
「感動しすぎてうれしくなり、逆に笑えてくるんです」
最近はネットの中継等で感想戦が放送される機会が増えたので、ご覧になったことがある方も多いだろう。棋士によって声のトーンが違うのだが、渡辺名人の意見は簡素でいて、なおかつ聞き取りやすいのが特徴だ。
「形勢判断が自信満々と言いますか、渡辺先生の中でのひとつの方針があって、迷いがないんですよね。
終局してすぐにその都度の形勢判断に沿って、的確で忌憚のない意見を言うのって、実はすごく難しいことなんです。対局中はいろいろありすぎて、すぐに整理することはできませんから。
でも渡辺先生は難しい局面でもある程度、自分なりの判断をする能力が本当にすごいなというか。渡辺先生の感想戦を見ていると、感動しすぎてうれしくなり、逆に笑えてくるんです」
そう笑顔を浮かべながら話すのだ。
これまでも取材中に突如笑い出していた
筆者は、里見が中学生の頃から追いかけているが、これまでも取材中に突如笑い出すことがしばしばあった。筆者には何がおかしいのかが、いつも理解できないままだったのだが、今回の取材でその謎が解けたような、どこかすっきりした気持ちにもなれた。
「コロナがなければ渡辺先生のタイトル戦を現地にたくさん勉強しに行きたかったんですが、こういった状況下では難しいですよね。
以前、渡辺先生が関西会館に来られたときに、少しだけお話しする機会があって。あれだけの実績を挙げられた先生なのに、私にも気さくに話しかけてくださって。いろいろな面で厳しいといったことも聞くんですが、素直に率直に思ったことを言われるのがいいんですよ。ズバッと。ふふふ」