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「感動しすぎて、笑えてきます」里見香奈インタビューで溢れた“渡辺明愛”

posted2020/09/13 09:00

 
「感動しすぎて、笑えてきます」里見香奈インタビューで溢れた“渡辺明愛”<Number Web> photograph by Ai Hirano

Numberの将棋特集ではページ数の都合で使用できなかった1枚。撮影中、里見女流四冠の笑顔は絶えることがなかった。

text by

内田晶

内田晶Akira Uchida

PROFILE

photograph by

Ai Hirano

 大反響を呼んでいる初の将棋特集Number1010号「藤井聡太と将棋の天才」。高校生棋士・藤井聡太二冠の大活躍が空前の将棋ブームを巻き起こしたわけだが、想像を遥かに超える盛り上がりに、将棋界はうれしい悲鳴を上げている。

 筆者は里見香奈女流四冠のインタビュー記事「腹立たしいけど、好きだから」を担当した。里見以外にも個性的で多彩な女流棋士は数多くいるが、今回の将棋特集号では紅一点の存在となった。

 インタビューは取材予定時間をオーバーするほどの盛り上がりとなり、誌面の都合で紹介できない話も多かった。筆者自身、里見の取材が久々で、聞きたいことが多かったということもあるのだが、理由はそれだけではなかったように思う。

「理想と言うか、好きなんですよね」

 本編で触れたように、里見のここ数年における環境や心境の変化が大きいと言えるのではないだろうか。本稿では、中でも興味深かったこぼれ話のひとつを紹介したい。

 里見が理想とする将棋を指す棋士は誰か。こんな質問をすると里見はすぐに、渡辺明名人の名を挙げた。

 藤井聡太二冠に初タイトル獲得を許したものの、その約1カ月後に名人位を奪取した「現役最強」の呼び声高い棋士である。渡辺名人は居飛車本格派の鋭い攻め将棋で、時には受けに回る振り飛車党の里見とは棋風が異なるのだが……。

「理想と言うか、好きなんですよね。渡辺先生の感想戦は形勢判断がしっかりしていて明快なんですよ。将棋にあまり詳しくない方が見てもわかるぐらいはっきりされているんです」

 感想戦というのは終局後に互いの良かった点や反省点、対局中に考えていたことなど、両対局者が意見を交わす場である。対局者の生の声が聞けるので、我々記者にとって貴重な取材の時間でもある。

【次ページ】 「感動しすぎてうれしくなり、逆に笑えてくるんです」

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