相手が年下でも意識するのはやめた。

　かつては年下との対戦が苦手だと話していた大坂だが、年齢を意識することはやめたのだという。

「ココ（・ガウフ）と2度戦って、そういう感じはなくなったわ。自分より若い選手が相手のときは、とにかく相手ががむしゃらに私に向かってくることを念頭に置いて、相手に対するリスペクトを持って、全力を尽くして倒すことを考えないといけない」
 
　しかし危ない試合だった。大坂相手にますます失うもののないコスチュクは、サーブだろうがリターンだろうがミスを恐れず、ラリーの中でも先手を取ることへの決意を露わに攻めの姿勢を見せ、ウィナーを次々と奪う。大坂がパワフルなショットで相当振り回しても、若いフィジカルを見せつけるかのようにすぐれたコートカバーリングを披露し、大坂にプレッシャーをかけた。

　ただ、攻めの気持ちが過ぎるせいかダブルフォルトが目立ち、第1セットは大坂が2つのダブルフォルトをもらった第5ゲームをブレーク。第9ゲームでも2度目のブレークに成功して、6-3でセットを先取した。

「自分を叱りつけたい感じだったけど」

　痛めている左太股をこの日もがっちりとテーピングで固めてきた大坂だが、決して動きは鈍くなく、第2セットも序盤から大坂のペースに見えた。しかし第4ゲームで5度のブレークポイントを生かせなかったあたりから、流れが変わっていく。コスチュクのほうはショットの精度を上げ、しぶとさは増す一方だった。

「たくさんあったブレークポイントを生かせなくて、自分を叱りつけたい感じだったけど、私のチャンスのときはいつも彼女がいいプレーをしたと思う。私もいろんな手を使ったけど、彼女はそのたびに対応してきた」

　あとで大坂はそう振り返ったが、苦しい時間帯は長かった。打ち急ぎ始めるとミスが増え、ダブルフォルトも与えてしまった第7ゲームをブレークされると、第10ゲームで追いついたものの結局タイブレークを失う。第1セットで8本しかなかったアンフォーストエラーは19本に増え、ラケットを放り投げる場面もあった。

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