オリンピック4位という人生BACK NUMBER
<オリンピック4位という人生(終)>
リオ五輪 7人制ラグビー桑水流裕策
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byJMPA
posted2020/08/30 20:00
南アフリカとの3位決定戦に挑んだ7人制ラグビー主将の桑水流裕策(右)。
もう彼に後悔の色は見当たらない。
ここで桑水流はとても重要なことを思い出した。4年前、ブラジルから戻った空港の光景だ。到着ゲートを出た瞬間、フラッシュが光った。拍手を聞いた。
「確かに何台かカメラがありました。まったく昔のままでは……なかったです」
今年に入り、桑水流は7人制女子チームのヘッドコーチを務めることになった。
「悩んでいた時期に気づいたことがあるんです。オリンピックをめざす。メダルを取る。その先にあるものというのは東京のピッチに立っても立たなくても同じなんです。日本におけるセブンズの価値を上げる。そのためにできることは今の私にも何かしらあるんじゃないかと考えています」
第一声から80分が経過していた。もう彼に後悔の色は見当たらなかった。
おそらく桑水流の心は折れたのではない。燃焼し尽くしたのだ。あのリオの夜がきっとその瞬間だったのだ。
桑水流裕策(7人制ラグビー)
1985年10月23日、鹿児島県生まれ。鹿児島工高卒業後、福岡大に進学。'05年セブンズ日本代表に選出。'08年コカ・コーラ加入、エディー・ジャパンにも招集された。ポジションはプロップ(7人制)、フランカー(15人制)。189cm、102kg。
◇ ◇ ◇
<この大会で日本は…>
【期間】2016年8月5日~8月21日
【開催地】リオデジャネイロ(ブラジル)
【参加国数】207
【参加人数】11,238人(男子6,179人、女子5,059人)
【競技種目数】28競技306種目(7人制ラグビーが追加、ゴルフが112年ぶりに復活)
【日本のメダル数】
金12 伊調馨(レスリングフリー58kg級)、大野将平(柔道73kg級) など
銀8 陸上男子4×100mリレー、卓球男子団体 など
銅21 瀬戸大也(競泳400m個人メドレー)、錦織圭(テニス) など