ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
大橋ジムのホープ2人がデビュー勝利。
アマのプロ転向が続く理由は?
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2020/08/26 11:40
アマ8冠の前評判通り、危なげなくデビュー戦に勝利した中垣龍汰朗。目指すはもちろん世界だ。
五輪の延期もプロ転向を後押し。
近年はアマチュア選手のプロ転向が目立っている。ロンドン五輪で金メダルを獲得した村田諒太(帝拳)、アマチュアでも実績を残した世界バンタム級2冠王者、井上尚弥(大橋)らのプロでの活躍が大きな刺激を与えていることは間違いない。
さらに今年は夏に予定されていた東京オリンピックの出場を逃したトップアマが相次いでプロに転向している。松本と中垣も東京オリンピック出場の夢が途絶えたことが、プロ転向に踏み切る大きなきっかけとなった。
ほかに、帝拳ジムからプロ入りするアマ174戦の藤田健児、高校時代に3冠を獲得し全日本選手権で優勝経験もある村田昴がデビューに向けて準備を進めている。
現在、国内に存在する世界チャンピオンは、村田(WBAミドル級)と井上(WBAバンタム級スーパー・IBFバンタム級)のほかに京口紘人(ワタナベ=WBAライト・フライ級スーパー)、寺地拳四朗(BMB=WBCライト・フライ級)、井岡一翔(Ambition=WBOスーパー・フライ級)、岩佐亮佑(セレス=IBFスーパー・バンタム級暫定)の6人。
彼らはいずれもアマチュアで実績を積んだ選手たちだが、言うまでもなく、アマチュアでキャリアを積んだ選手であっても世界チャンピオンになれるのは一握りにすぎない。ダウンという試練を味わった松本圭佑と圧勝した中垣龍汰朗。世界チャンピオンへの長く険しい道のりは始まったばかりだ。