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なぜレッドブル・ホンダは優勝できた?
特別なレースを制した、その舞台裏。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2020/08/10 11:30

なぜレッドブル・ホンダは優勝できた?特別なレースを制した、その舞台裏。<Number Web> photograph by Getty Images

レース終了直後、マシンから降車したフェルスタッペンが思わずガッツポーズ。この後、チームスタッフにもみくちゃにされた。

「今週のミディアムは先週のソフトだ」

「今週は持ち込まれたタイヤのコンパウンドが1段階軟らかくなり、今週のミディアムは先週のソフトだ。今週は気温も上がって、レースのスタートタイヤとしてはミディアムはあまり良くないと判断して、ハードでレースをスタートすることにした」(フェルスタッペン)

 この決定を予選前のミーティングで知ったホンダの山本雅史(マネージングディレクター)は「これは日曜日のレースは行けるかもしれない」と思わず拳を握りしめた。

 フェルスタッペンとレッドブル・ホンダがとった思い切った選択は、1週間前より気温が3度高いコンディションでスタートした日曜日のレースで功を奏する。

余裕を見せつけて優勝したフェルスタッペン。

 スタートで1つポジションを上げて3番手でメルセデス勢2台を追走するフェルスタッペン。しばらくすると、ミディアムタイヤを履いてスタートしていたメルセデス勢がタイヤにブリスターを発生させ、ペースが落ち始める。

 ブリスターとは、コンパウンド内の温度が異常に上がって火ぶくれができ、高速で回転するタイヤの遠心力によって火ぶくれ部分の表面のゴムが飛び散り、タイヤの表面にくぼみができる現象だ。ブリスターが発生したタイヤは路面との接地面積が少なくなり、滑りやすくなる。タイヤが滑れば、さらにタイヤ表面が加熱され、ブリスターが悪化する……。

 13周目と14周目に相次いでピットインしたメルセデス勢に対して、フェルスタッペンはその約2倍の26周目までピットインを延ばし、逆転に成功する。

 その後、32周目に2度目のピットストップを済ませたフェルスタッペンは、メルセデス勢がタイヤを交換した後もブリスターに苦しむ中、無線で「みんな水分補給を忘れないでね」と余裕の走りを披露。

 2位ルイス・ハミルトンに11秒の差をつけて、トップチェッカーフラッグを受け、見事、今シーズンの初優勝を飾った。

【次ページ】 依然としてメルセデス有利ではあるが……。

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