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清武弘嗣の新たな相棒はプロ2年目。
セレッソの好調を支える坂元達裕。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/05 08:00
FWに故障が続くセレッソだが、左サイドに陣取る清武弘嗣を活かすことで攻撃の迫力を維持している。
まだプロ2年目、しかもJ1は1年目。
坂元はまだ、プロ2年目である。
昨年、山形で42試合7得点という結果を残し、1年でJ1のセレッソ大阪への移籍を果たした。持ち味の鋭いドリブルと腰の入った粘り強い守備、豊富な運動量で柿谷曜一朗、豊川雄太ら実力者を抑えて開幕からスタメンを勝ち取り、前節の鳥栖戦では同点弾となるJ1初ゴールを決め、堂々たるプレーを見せている。
湘南戦の前半はやや浮いていたが、後半はサイドから鋭くスピードのある仕掛けを見せていた。左MFの清武弘嗣とも呼吸が合うのだろう。清武が左から中央に運んでくると近くに寄ったり、裏を狙ったり、阿吽の呼吸で動いていた。
素晴らしい仕掛けを見せたのは、後半25分だ。
坂元が出したパスを奥埜博亮がキープし、間をとってリターン。ボックス内に侵入した坂元が馬渡和彰がうしろからファールを受け、PKを得た。
坂元が奪ったPKを清武が決め、それが決勝点になった。
前線にターゲットになるFWが不在のため、得点を取るためにはこうした連動した攻撃が必須になるが、坂元がいいアクセントになっている。今後も、単独はもちろん周囲と連動しながら多くのチャンスを作り、得点に絡む場面が増えるだろう。
ロティーナ監督も「タツは、J1で素晴らしいデビューを飾っている。攻撃だけではなく、守備での貢献もすごく大きい。我々は、彼の動きにすごく満足しています」と絶賛している。
清武との補完関係も好相性。
しかも坂元のプレーは、清武の良さを引き出している。
仕掛ける右サイドの坂元に対して、清武はゲームメイクと得点に注力できている。ミドルレンジのパスで逆サイドに展開し、あるいはショートパスで打開し、さらにゴールに絡んでいく様は、ロンドン五輪時の清武に戻ったような溌剌さを感じる。
清武は今シーズン、7試合ゴールがなかった。
湘南戦でPKとはいえ初ゴールを挙げたことで、気持ちも調子もさらに上がっていくだろう。清武自身も「昨年も湘南戦でゴールを決めている。早く1点が欲しかったので、PKですけど、ゴールはゴールなので良かったと思います」と、素直に喜びを見せていた。