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クイーンS経由、海外GI転戦の名牝。
ディアドラに思い出す2年前の圧勝。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/07/31 17:00
2018年のクイーンSを制したディアドラ。次のアイルランド府中牝馬Sも制し、翌年の快挙の足掛かりとした。
マーフィーを背に秋華賞以来のGI。
ドバイから香港まで戻ってきたディアドラだが、陣営はそのまま帰国する道を選ばず、再び西へ。なんとイギリスのニューマーケットへ向かい、6月のロイヤルアスコット開催のメインレースであるプリンスオブウェールズS(GI)に挑ませると発表されたのだ。
結局このプリンスオブウェールズSは道悪になったこともあり、地元ヨーロッパ勢に軍配が上がる。ディアドラは8頭立ての6着に敗れてしまったのだ。
ところが日本からの挑戦者の歩みはまだ止まらなかった。
そのままニューマーケットに残ると8月1日にはグッドウッド競馬場のナッソーS(GI)に新たなパートナーとしてオイシン・マーフィー騎手を迎えて出走する。
9頭立てのこのレースにはディアドラの他にアイリッシュ1000ギニー(GI)の勝ち馬ハモーサやフランス版オークスであるディアヌ賞(GI)の覇者チャンネルら各国のクラシックホースが名を連ねており、近走で凡走を繰り返していた挑戦者は7番人気タイの支持しか得られなかった。
しかし、結果は皆さんご存知の通り。見事にヨーロッパ勢を破ってディアドラが秋華賞以来となるGI制覇、海外遠征では自身初となる大仕事をやってのけたのだ。
連覇こそならなかったものの。
その後はすっかりマーフィー騎手が主戦となり、ニューマーケットをベースにして世界中を転戦。イギリスはもちろん、アイルランド、香港、サウジアラビアにまで遠征している。
なかなか勝利を掴むことは出来ていないが、アイリッシュチャンピオンS(GI)での僅差4着や、イギリスのチャンピオンS(GI)でマジカル、アデイブといった実力馬に続く3着、格下相手といえサウジアラビアでも2着するなど、善戦している。
競馬の世界でもコロナ禍により各国間に境界線が引かれてしまった昨今も、7月5日にはエクリプスS(GI)に出走してエネイブルやガイヤースと一緒に走り、冒頭で記したように30日に行われたナッソーSにも連覇を目指して出走。いずれも残念な結果に終わってしまったものの、日本の競馬ファンに夢を見させる走りをしてくれた。
ナッソーSは最後の直線で急失速してしまったため今後が心配されるが、ぜひ無事で、何とかリカバリーして再び全盛期の走りを取り戻していただきたいものだ。