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羽生さんは2年後、ひふみんは8年後。
藤井聡太棋聖、2つ目のタイトルは?
posted2020/07/17 19:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
日本将棋連盟
「藤井くん」と呼ぶのがはばかられる強さ、とはいえ画面上からでも伝わる17歳のあどけない笑顔を見ると「藤井棋聖」というのも……ここはあえての「藤井くん棋聖」? いや、明らかに不自然だ……。
そんなしょうもないことを考えたくなるほど、藤井聡太・新棋聖がとにかく強い。
第91期ヒューリック杯棋聖戦を3勝1敗で制し、初タイトルを獲得。現役最強棋士の1人といわれる渡辺明二冠相手に見事な戦いぶりだった。そして栄冠の余韻に浸る間もないだろう中、8月には王位戦第3局が待ち受ける。
日本中が注目する中でも盤面に集中し、将棋界に新風を巻き起こし続ける姿に、畏敬の念を感じる人も多いだろう。
2020年度の対局成績は7月15日時点で13勝2敗。勝利のおよそ半分が八大タイトル経験者相手で、勝ちっぷりが異次元であることは分かってもらえるはず。
渡辺棋聖に勝利し、“30歳差”の木村一基王位相手の挑戦で2つ目のタイトルとなれば、“第2次藤井くんブーム”がさらに盛り上がることは必至だ。
白鵬や大阪桐蔭でさえ2回目は……。
2つ目のタイトル獲得――スポーツの世界でも最強アスリート、強豪チームは数あれど、それを成し遂げるのは難しい。
角界なら白鵬は大関昇進の2006年5月場所に幕内で初優勝したのち、2回目の優勝は5場所後の2007年3月場所。また高校野球の大阪桐蔭は1991年夏の甲子園で初出場初優勝したものの「2回目の全国制覇」は17年後の2008年夏まで待つことに。
しかし2回目の栄冠後、白鵬と大阪桐蔭が歩んだ大横綱への道は説明不要だろう。
その一方で、初タイトルが勢いをもたらす例もある。
好例はJリーグの川崎フロンターレだ。10年近く栄冠にあと一歩でシルバーコレクター的な扱いをされていたものの、2017年にJ1初制覇すると、翌年はさらなる強さを見せてJ1連覇。2019年もルヴァン杯を制して3年連続タイトルを手にしている。