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美しきイタリア体操界の星、ヴィラ。
コロナ禍の悲劇乗り越え東京五輪へ。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images,Yumiko Yanai(in the article)
posted2020/07/18 20:00
昨年10月の世界選手権では大躍進のイタリアを引っ張ったヴィラ。
COVID-19で父方と母方の両方の祖父を失った。
五輪イヤーとなった'20年は状況が急転した。
世界中が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けるという悲劇に見舞われた。中でも3月以降、イタリアは感染者数も死者数も急増し、パンデミックに陥った。
イタリア体操連盟の公式サイトが4月2日に掲載した記事によると、ヴィラはCOVID-19で父方と母方の両方の祖父を失ったという。
ヴィラは「私はたくさん泣いたことを認めなければなりません。私は彼らに別れを告げることすらできませんでした」とコメントしている。COVID-19が世界中に悲しみと困難をもたらしていることをあらためて思い知らされる出来事だ。
イタリア体操協会は公式サイトで「私たちは、国際オリンピック委員会と日本の東京五輪組織委員会の決定を理解し、共有しています。大会はしばらくありませんが、それは、私たちがより良い準備をするためのより多くの時間を持つことを意味します」との見解やコメントを掲載している。
日本もメダルを狙うことが不可能ではない。
おそらくヴィラは今、体操選手としてより成長することを目標に、毎日のトレーニングを行っているはずだ。
「東京は行ったことがないので、オリンピックが楽しみ」とキュートな笑顔を見せていたヴィラ。'21年夏の来日が叶えば、世界中の体操ファンは新しいスターの出現に心を躍らせることになるだろう。それは日本のファンにとっても同じだ。
さて、イタリアが昨年の世界選手権で団体総合予選8位ながら団体決勝3位と大躍進したことは、日本の女子にも勇気を与える結果だった。
予選での点数はイタリアが161.931点で、日本(11位)は161.228点と、その差はわずか0.7点ほど。落下1つの減点にも満たない差だったのだ。日本も決勝に進むことができていれば、メダルを狙うことが不可能ではない。そう思わせる結果だった。
そんなこと、こんなことと頭を巡らせて思うのは、来年の夏、東京五輪の舞台では日本もイタリアも、最高のパフォーマンスを見せてくれることを期待したいということだ。ファンにとってはそれが一番の望みだろう。