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美しきイタリア体操界の星、ヴィラ。
コロナ禍の悲劇乗り越え東京五輪へ。
posted2020/07/18 20:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images,Yumiko Yanai(in the article)
1年後に延期された東京五輪で会いたい女子体操選手がいる。イタリアの17歳、ジョルジア・ヴィラだ。
昨年10月にドイツ・シュツットガルトで開催された世界体操選手権で、1950年以来69年ぶりの団体総合銅メダルを獲得したイタリア女子のホープ。
大会当時はまだ16歳だったが、安定感とダイナミック性を兼ね備えた見応えのある演技を披露したヴィラは、エース格の活躍でチームを引っ張った。
東京五輪の団体出場権が懸かった団体総合予選では、4種目すべてに出場した。
「私にとって体操で最も難しいのは、競技中に集中力を保つこと。落ち着いて演技をするのは難しいです」
国際体操連盟の公式サイトではそのように語っていたヴィラだが、言葉とは裏腹に伸び伸びと演技をした。
イタリア女子、59年ぶりの団体総合銅メダル。
跳馬では「ユルチェンコ2回ひねり」をピタリと着地。「フニクリ・フニクラ」の曲を使ったゆかでは、女子選手としては大柄な163cmの身長を存分に生かし、ひまわりのような笑顔で観衆の心をつかんだ。
落下のあった平均台は12点台半ばにとどまったが、跳馬と段違い平行棒で14点台を出して、8位での団体決勝進出に貢献。この成績により、イタリアは東京五輪の団体切符を手にした。
さらに、8カ国による団体決勝ではイタリアチームでただ1人、4種目すべてを任された。そして、予選で12点台にとどまった平均台とゆかを13点台に乗せ、跳馬と段違い平行棒も高得点をマーク。
イタリア女子の59年ぶりの団体総合銅メダル獲得は、ヴィラの活躍あってこそ。ニューフェイスが体操ファンに残したインパクトは大きく、ヴィラが紹介されると会場から大きな拍手がわき上がった。