マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
弟は巨人の期待の星、兄も実力十分。
湯浅翔太に感じる力ともったいなさ。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHiroki Kubo
posted2020/07/07 07:00
輪郭、顔立ちなどはどこか弟と通じる雰囲気もあるが、湯浅翔太は1人の野球選手としてプロを目指している。
赤上優人、まだ伸びしろが大きい。
東北公益文科大・赤上優人投手(4年・175cm72kg・右投右打・角館高)は、すでに150キロ台に乗せた速球に、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球を交えて攻める力感十分の投球で、この秋のドラフト候補に挙げられる剛腕である。
リリースのタイミングとボディバランスがきまった時のボールは、どの球種もオッと思わせる威力があるが、もったいないな……と思ったのは、全体にゾーンが高いので球数が多く、カウントを取り戻そうとするボールが甘くなるのを待ち構えられるパターンで走者を許し、失点していることだ。
今年は、東北のチームも実戦経験が少なく、マウンドから打者に投げ込む感覚が思うように磨けない事情があって気の毒なのだが、早めに体を正面に向けてほぼ真上から投げ下ろす赤上投手のようなタイプは、高く抜けたり浮いたりしがち。ならばこそ一層、リリースの一瞬に丁寧さがあってよい。
ただ「投げる」ではなく、リリースで指先で念入りにボールをぐいと押し込んで、「投げ込む」感覚を体感できれば。
今のちょっと重たい投球テンポも、1分間4球ぐらいにテンポアップできればバックも守りやすくなるはずだ。
東北公益文科大・赤上優人、本格的に投手を始めたのは大学に進んでからと聞いた。まだまだ伸びしろをいくつも持った投手だ。
お目当ては七十七銀行の湯浅翔太。
その日の私のお目当ては、実は七十七銀行のほうにいた。
遊撃手・湯浅翔太(23歳・180cm80kg・右投左打)。
千葉の城西国際大でプレーしていた頃から、180cmを超す長身をきれいに使いこなせるショートだなぁ、と思いながら見ていた。
城西国際大の佐藤清監督は、早稲田大学の野球部で私と同期だったこともあって、リーグ戦や練習に伺うことが何度もあった。
大学4年時はプロ志望だったものの指名はなく、それでも仙台の七十七銀行に就職が決まったと聞いた時は「よかった!」と思ったものだ。
レギュラーで使ってもらえそうだと思ったからだ。