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高校野球のリーグ戦を試みる公立校。
萎縮しないプレー、個人タイトルも。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKou Hiroo

posted2020/06/22 11:30

高校野球のリーグ戦を試みる公立校。萎縮しないプレー、個人タイトルも。<Number Web> photograph by Kou Hiroo

香里丘高校が中心となって2019年に開催された『Liga Futura』。高校野球の新たな道筋となるか。

日程、グラウンド確保は難しかったが。

 リーグ戦を始めるにあたっては、堺ビッグボーイズ中学部の阪長友仁監督に指導助言をあおいだ。リーグ戦では、従来の金属バットではなく、アメリカのアマチュア野球で使われているBBCOR仕様の低反発バットと木製バットを併用することにした。

 もちろん、リーグ戦の実施は簡単な話ではなかった。

「まず日程の確保です。秋季大会が終わった9月下旬から11月下旬の2カ月にわたって実施しているのですが、その間にも修学旅行や模試などがあり、全校足並みを揃えて日程を確保するのが難しかった。また、グラウンド確保にも苦労しました。大阪は試合ができるグラウンドを持つ高校が多くなく、試合会場が一部の学校に集中してしまうこともありました。各校の先生方と調整しながら、ひとつひとつ問題を解決していきました」

 リーグ名は『Liga Futura』、“未来を見据えたリーグ”というニュアンスだ。

 リーグ戦を導入したことで、選手たちの野球に取り組む姿勢は大きく変わった。

「選手は、個人個人で自分の課題は何なのかを考え、それを克服するために考えて取り組むようになりました。低反発バットになったら打てない選手、低反発バットに変わっても苦労せずに打てる選手がいてその違いは何なのか、指導者に聞いてきたり、自分で調べたりして自発的に取り組む姿が増えました。 

 あと、打者はフルスイングできる選手が増え、投手はストレートで勝負しようという姿勢が随所に見られたのもプレー面での良い変化だったかなと思います」

二番手以下の投手が投げ、重圧も軽減。

 目先の勝利を追い求める野球では、犠打や走者を送る戦法が多くなりがちだ。投手もかわす投球が多くなる。それ自体は悪いとは言えないが、選手個々が実力を発揮する機会が狭くなることにもつながる。

 その点、リーグ戦は「負けてもあとがある」から、選手は思い切った野球ができるのだ。

 実はトーナメント制で最もプレッシャーがかかるのは指導者だと言われる。

 試合で二番手以下の投手を抜擢しようとしても、それで負けたら周囲から「なぜエースを出さなかったのだ」と責められる。このために肘、肩に懸念があったとしても、エースを無理して起用せざるを得ないのだ。

 リーグ戦にすれば、控え選手にもチャンスを与えることができる。プレッシャーも軽減され、指導者も伸び伸び采配を振るうことができるのだ。

【次ページ】 個人タイトルなどデータが残せる。

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