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高校野球のリーグ戦を試みる公立校。
萎縮しないプレー、個人タイトルも。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKou Hiroo

posted2020/06/22 11:30

高校野球のリーグ戦を試みる公立校。萎縮しないプレー、個人タイトルも。<Number Web> photograph by Kou Hiroo

香里丘高校が中心となって2019年に開催された『Liga Futura』。高校野球の新たな道筋となるか。

個人タイトルなどデータが残せる。

 もう1つ、リーグ戦の良さは、チーム、個人の様々なデータが残ること。

 今の高校野球では、強打者は「高校通算何本塁打」などの報道が載るが、公式戦だけでなく練習試合なども含めた玉石混交な数字であることが多い。しかしリーグ戦をすれば、投打の客観的なデータが蓄積する。これらを比較すれば、チームや選手の特性、個性が見えてくる。改善点や努力すべきことも具体的にわかってくる。

 2019年の『Liga Futura』は、11校が参加。それぞれ12試合を戦い、その後決勝トーナメントを実施した。

 また、個人タイトルも決めた。首位打者は33打数17安打の打率.515、最優秀防御率は42.2回、自責点7の1.48だった。

 こうした数字が、選手にとって大いに励みになるのは言うまでもない。

「クリエイティブな思考で意見を」

 藤本部長は、今後もリーグ戦を発展させていきたい考えだ。

「今季も1、2校参加校が増えそうです。周りの学校から参加したい、と言ってもらえるような魅力あるリーグ戦にしたいです。そのためにも、まずは今参加している学校の指導者がコーチングスキルを上げるために、学び続ける姿勢を持つことが大切だと思います。

 そして、子どもたちにとってプラスになることはスピード感を持ってどんどん取り入れていけるよう、指導者一同クリエイティブな思考で意見を言い合えるようなリーグ戦にしていけたらなと思っています」

『Liga Futura』だけでなく、こうした取り組みが全国で始まっている。

 新型コロナ明けには、経済環境の悪化も予想され、高校野球を取り巻く環境は厳しくなることが予想される。

 高校野球をより魅力的で、選手ひとりひとりの成長を促すものにするために、高校野球の指導者はリーグ戦の創設、参加を考えてみてはどうだろうか?

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