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中村俊輔のコーナーキックは美しい。
“バックショット”の虜になった瞬間。 

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澤田仁典

澤田仁典Kiminori Sawada

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photograph byKiminori Sawada

posted2020/06/24 08:00

中村俊輔のコーナーキックは美しい。“バックショット”の虜になった瞬間。<Number Web> photograph by Kiminori Sawada

澤田氏が虜になったという中村俊輔のバックショット。華麗な左足でこれまで多くの勝利に貢献してきた。

カンプノウで捉えた貴重な1枚。

 2つ目は2008年3月、当時スコットランドのセルティックに所属の彼が待ち望んでいたという、バルセロナとのチャンピオンズリーグノックアウトラウンドを戦ったセカンドレグの時だ。ファーストレグで敗れたセルティックは攻めるしかない状況だったが、バルセロナサッカーの猛攻に耐える時間が続く。なかなかキックのチャンスも回ってこない。

 後半になってやっと巡ってきたコーナーキック。カメラボディの超望遠レンズを急いで外し広角レンズに付け替える。ピッチ端の芝生に突っ伏してアングルを決めていると、背後の観客から容赦ないヤジが飛んでくる。そんな喧噪の中、巨大なカンプノウのピッチで躍動する中村の貴重な1枚が撮れた瞬間であった。

猛暑にも負けない力強さ。

 3つ目は2008年6月に行われたワールドカップ3次予選、1カ月の間に4戦を行う過酷なスケジュールの中で迎えた対オマーン戦。アウェーの会場となる首都マスカットは、強い日差しと40度近い気温のため、日中に街を出歩く人影もまばら。ちょっと街中を出歩いてみると汗が噴き出して頭がくらくらする暑さだった。
         
 試合は夕刻から始まったが、手元の気温計はゆうに35度を超えていた。このうだる暑さを味方に、オマーンの選手たちは地の利を活かして機敏に動く。前回の試合、ホームでの対オマーン戦に3-0で快勝した日本選手たちだが、動きが鈍い。すると、日本代表は前半早々に先制点を許してしまう。

 小康状態が続く後半、コーナーキックに向かう中村を認めたとき、バックショットを狙うため後方に膝をついてポジションを取った。膝が地熱で焼けるように熱い! そして額から流れ落ちた汗が目に入り痛い! 苦痛に晒されながら撮った1枚には、夕日に染まるスタジアムで日本代表を奮起させようと孤軍奮闘する、ベテランとなった彼の姿が写し出されていた。

 6月24日。今日で42歳となったいまもなお、現役でプレーし続ける中村俊輔。これからも私たちにキックで夢を見させて欲しい。切にそう願っている。

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