練習を減らしてでも体調を優先。

　2018年までは試合後に必ずマシン打撃をしていたが、それも体の疲労度によっては休むことを選択。

　その分を補うべく、トレーニングコーチが作成した上半身、下半身、体幹などの部位を集中的に鍛えるプログラムを、1カード（3連戦）や1クール（6連戦）ごとにこなしていった。

　開幕から打率3割をキープ。体のキレが増し、打撃や守備での効果も感じられた。試合に出続けることを最優先に考え、時にはトレーニングを抑え、疲労回復に努めながら「未知の領域」に挑み続けた。

　試合に出続けることの難しさ。わかってはいたが、特に野手にとって最もきついと言われる夏場はやはりそれを痛感した。だが茂木は、そんな弱い自分をも甘受した。

まずは1年間、出続けないと。

「自主的な練習なんてできないです。やったらもう、試合に出られない。何年もレギュラーの方って、試合後もすごく練習するじゃないですか。すごいなって思うし、それが、今の僕にないものなんだなって。

　でも、1年間試合に出続けたことがないので、まずはそれを経験しないと、次のステップには進めないと思っています」

　そして、自分の可能性を確かめるように、こうも言っていた。

「1年間戦ってみて、茂木栄五郎がどのくらいの成績を残せるのかを見てみたい」

　その結果、143試合のうち141試合の出場。チームが茂木の疲労度を考慮し休ませたこともあって、フル出場は叶わなかった。打率2割8分2厘、13本塁打、55打点という成績にも納得はしていない。それでも、離脱することなくシーズンを戦い抜けたことこそ、'19年の茂木にとっては全てだった。

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