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今日はミケルソンが50歳の誕生日。
世界で唯一のジョークと“愛され”。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2020/06/16 19:00
50歳のミケルソンが今も米ツアーのトップクラスでプレーしている。それはゴルフ界にとって幸運なことだ。
自分のジョークに自分で大笑い。
それはさておき、ミケルソンと同じサンディエゴ出身のチャーリー・ホフマンの思い出話が圧巻だった。
「僕が9歳のとき、サンディエゴのジュニアゴルフのパーティーに出たら、当時16歳だったフィルがゲストで登場した。すでにフィルは僕ら全員が憧れていたスーパースターだったけど、壇上のフィルはやたらとジョークを連発し、そのたびに聞いていた僕らの誰よりも大声で自分のジョークに大笑いしていた。その姿があまりにも面白くて、僕らはみんな別の意味でフィルに釘付けになった」
ちょっぴり苦しいオヤジギャグを連発し、自分で笑っていたというミケルソンだが、それでも愛され、尊敬され続けているのは、彼が誰より努力家だからだとホフマンは言う。
「フィルはショートゲームの天才と思われているけど、それ以上にアイアンの名手だ。ドライバーは決して彼の武器にはならないけど、アイアンとウエッジのあの技術があるからこそ、乱れがちなドライバーでも果敢に攻めていくことができる。
そして彼は比類稀なる努力家だ。50歳を迎え、あれだけの実績と名声と富がありながら、それでも誰よりもハードワークを重ねているところが、あまりにも素晴らしい」
世界がもらい泣きしたキス。
しかし、ミケルソンの最大の魅力は、家族愛の深さと優しさだと私は思う。
愛妻エイミーと実母メアリーが乳がんと診断されたのは2009年5月と7月のことだった。その年、ミケルソンはメジャー大会を欠場し、ツアーからも離れ、家族と過ごすことを優先した。
その翌年、戦線復帰し、見事にマスターズ3勝目を挙げたミケルソンが18番グリーン奥に弱々しい姿で立っていたエイミーを抱き締め、熱いキスを交わしたとき、世界中のファンがもらい泣きした。
まるでドラマのようなリアルを実現してしまうミケルソンは、だからこそ永遠のスターであり続ける。