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トルシエが語る「日本人のメンタル」。
中田と本田の同じ部分、違う部分。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKazuaki Nishiyama
posted2020/06/16 08:00
日本代表を率いていたころのフィリップ・トルシエ。日本サッカーを大きく変えた人物の1人である。
トルシエ流とザッケローニ流。
もちろんそうしたことは、今日でも監督の仕事ではある。しかしザッケローニを見ると、彼はその部分でほとんど何もしていない。選手のメンタル面のエネルギーは、あらかじめ存在しているからだ。ときに過剰を感じ、抑えなければならないこともあるだろう。
私はメンタルを作りあげ、彼はメンタルをコントロールする。求められるマネジメントが、彼と私では異なる。
私の時代だったら、彼のやり方では十分ではなかったかもしれない。逆に私のやり方も、今、同じことをしてもうまくいかないだろう。それぞれの時代に、状況に適した真実があるということだ。
時代は変わった。これから代表に選ばれる選手は、はじめからユニフォームの重さを知っている。ユニフォームに恥じない全力プレーをしなければならないことを、彼らはすでに分かっている。同時に代表のユニフォームを着たときは、何も恐れるものがなく、すべてが可能であるということも。
つまり代表のメンタリティが、どういうものであるかということを。
(Number781号『トゥルシエが見た、日本人のメンタル論』より)