スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
マイナーリーグと生き残り対策。
米国「草の根野球」を守って欲しい。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/06/06 09:00
オハイオ州のデイトン・ドラゴンズ(レッズ傘下、1A)の本拠地・フィフス・サード・フィールド。現在、集客力がある球団も苦境に立たされている
草の根野球はかならず戻ってくる。
ただ、内部留保が厚いはずのメジャー球団のオーナーたちには、もう少し太っ腹なところを見せていただきたいと思う。
MLB機構全体が手を携え、独立リーグ系も含めて、まとめて面倒を見る措置は考えられないだろうか。マイナーリーグ全体160球団が各100人の選手・職員を抱えていると仮定した場合、年間休業補償(1人2万ドルと想定)の総額は3億2000万ドル(約350億円)に抑えることができる。
これは、ゲリット・コールやブライス・ハーパーひとりに支払う俸給(10年総額)と大差ない。弱肉強食や適者生存を声高に言い立て、球団削減をヒステリックに主張するよりも、いまは地道に球団継続を推し進める時期ではないだろうか。
地元観客は、払い込み済みのシーズンチケットを1年後に使えるようにすれば文句は言わないだろう。地元スポンサーも、すでに支払った協賛金を来季の分にまわすことに同意してくれるのではないか。クラウド・ファンディングなどで独立リーグを支える手段も、考えられてよいだろう。
そうなれば、マイナーリーグの球団は、負債に追い立てられることなく、最低限1年間、生き延びることができる。この辛抱が功を奏すれば、草の根野球はかならず戻ってくるし、観客もきっと笑顔で戻ってくるはずだ。