スポーツはどこへ行くBACK NUMBER
新型コロナ禍に揺れたBリーグ。
三密競技の出口戦略を考える。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byB.LEAGUE
posted2020/06/04 11:30
約2週間ぶりに再開となった3月14日の千葉vs.宇都宮の試合は、無観客で行われた。
「これはバスケ界に限ったことではありませんが……」
4月末にはB1、B2の計36チームで、6月決算の28チーム中25チームが赤字の見込みになっていることが明らかにされた。ただちに経営破綻するクラブは出ない見通しだが、今後、財務基盤の脆弱なクラブの経営が厳しくなることも予想される。そのようなクラブを破綻させないための支援を行いながら、今回の危機を契機にオンラインを利用した事業拡大やコストダウン、リスクに強い運営を目指していく必要がある。
「興行を成立させるにあたって、無観客で実施するのか入場制限がつくのか、通常通り行うのかといったいくつかのパターンがあるなかで、今季終盤は中止という最悪の判断をしなければなりませんでした。
そうなった時に一番ダメージを受けるのは、本来得られるはずだったチケット収入やスポンサーの広告権料が失われてしまうクラブの経営です。そう考えると、やはり試合を履行することが必要だとあらためて強く感じます。
ただ、無観客であっても、選手のモチベーションを置き去りにはできない。その場合は選手にも理解してもらった上で、テレビ中継やテレビ配信の先にいるお客様にしっかりとパフォーマンスを見せてもらいたいと思っています。
また、これはバスケ界に限ったことではありませんが、スポーツを含むエンタメ界は、無観客であってもどのようなところにビジネスチャンスがあり、どのような体制を形成できればクラブの経営を極力痛めず、収益を維持し、さらに深めていけるのか、見直さなければいけない状況に立たされていると思っています」(数野)
スポーツは社会的にどんな存在なのか?
来季(2020-21シーズン)は例年通り10月開幕を予定している。ただ、今後の状況次第では1カ月単位で先送りする見込みで、大まかな方向性は8月をめどに示し、遅くとも9月には最終決定する。
政府から「新しい生活様式」が提唱されているが、今後、バスケ界でもプレーや観戦する上での環境やスタイルは変化を余儀なくされる。
Bリーグは段階的な正常化への道筋を描く戦略を描きながら、スポーツが社会に必要なコンテンツであるという存在価値を示す上でも今、重要な岐路に立っているのかもしれない。