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新型コロナ禍に揺れたBリーグ。
三密競技の出口戦略を考える。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byB.LEAGUE

posted2020/06/04 11:30

新型コロナ禍に揺れたBリーグ。三密競技の出口戦略を考える。<Number Web> photograph by B.LEAGUE

約2週間ぶりに再開となった3月14日の千葉vs.宇都宮の試合は、無観客で行われた。

感染対策は各クラブに情報共有されている。

 シーズンオフに入った4月にはB1大阪エヴェッサの所属選手及びスタッフ13名に新型コロナウイルス感染症の陽性判定が確認された。

 Bリーグは3月の無観客試合実施前、行動指針として感染予防のガイドラインを作成し、各クラブの所属選手やスタッフ、フロント、さらに同居家族にも共有していた。

 当時は、37.5度以上の発熱が4日間続き、感染が疑われた場合は、帰国者・接触者電話相談センターに連絡しPCR検査を受けることになっていた。しかし、クラブ関係者に発熱が2日間続いた時点でリーグに報告することが義務づけられていた。

「正直、ついに出てしまったなとは思いましたが、ある意味感染者の発生は、想定内というかいつかは出るだろうという気持ちもありました。

 すでにオフに入っていたので、チーム内で不要な接触が行われていたわけではありませんでしたし、練習場の消毒や練習時間をずらすなど十分に配慮されていて、クラブ内での管理体制が決定的に欠如していたわけではないと思っています。

 もちろん、起きてしまったことは仕方ないですし、大事なことは次にどのように生かすかということです。リーグ戦が行われている期間に感染者が発生しないとも限らないわけですからね」(数野)

 以降、現時点でBリーグに陽性判定を受けた選手やスタッフはいない。大阪エヴェッサの協力のもと、今回の一連の経緯や原因、対策は各クラブにも情報共有されているという。

プロ野球は6月19日、Jリーグは7月4日から。

 緊急事態宣言の全面解除を受け、スポーツ界も本格的に再始動する。それぞれ移動やプレー時の接触に不安を残しながらスタートの準備を加速させる。

 他の競技では、プロ野球は6月19日に開幕、Jリーグは7月4日(J1)の再開が決定した。

 ただ、一気に新型コロナウイルスが流行する以前の状態に戻れるというわけではない。感染の第二波の懸念もある状況下では、今後はコロナとの共生が1つのキーワードになる。

「これから練習や試合も行われていくなかで、移動や宿泊などもあり、そういった時に何に注意し、カバーしていかなければならないのかなど、行動指針はブラッシュアップしながら引き続き適用させていきます。

 また、運営の観点からいっても、特に観客有りでの開催ができるかどうかという部分ではカバーしなければならない箇所は大きく変わってきます。

 諸室の使い方や消毒など、きっちりとガイドラインを作らなければ、正直なところ、公式戦は履行できないと思っています。また、感染者が出た場合は、試合をどう取り扱うのか、選手の復帰に関するルールにしても、来季の開幕に向けてクラブとも議論を続けながら決めていかなければなりません」

 バスケットボールは「三密(密閉、密集、密接)」の要件を満たす可能性の高い競技だ。感染リスクの面を考慮しても、他の競技以上に細心の注意を払う必要がある。

「屋内スポーツという特性のなかで我々がやらなければならないこと、やるべきことを、専門家の方々ともやり取りを行いながらガイドラインを更新していく予定です」(数野)

【次ページ】 「これはバスケ界に限ったことではありませんが……」

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数野真吾
大河正明
大阪エヴェッサ

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