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どんな状況でも強くなれる方法はある。
那須川天心がコロナ禍でも元気な理由。
posted2020/06/02 11:50
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Twitter From TeppenTenshin
いまや格闘家として国内では最も影響力を持つようになった那須川天心(TARGET/Cygames)。他の選手では真似できないようなダイナミックでスピーディーな試合運びは海外からも大きな注目を集めている。
昨年は主戦場とするRISEの『RISE WORLD SERIES-58kg世界トーナメント2019』で圧倒的な強さを見せつけて優勝した。大晦日恒例のRIZINでは“国内最後の大物”といわれた江幡塁(伊原道場)を全く問題にせず、1ラウンドで3ノックダウンを奪ってKO勝ち。キックボクサーとしての全勝記録を34に伸ばした。
今年は4月12日のRISEエディオンアリーナ大阪大会から出場する予定だったが、コロナ禍の影響を受けて大会は中止に。続いて出場予定だった6月14日のRISEぴあアリーナMM横浜大会もなくなってしまった。
那須川にとって6カ月以上も試合間隔が空くという経験は初めて。緊急事態宣言が発令されジムでの練習もままならない中、那須川はいかに過ごしているのか。
「試合はないけど、僕は全然大丈夫です」
──試合のない非日常をどう過ごしている?
「試合はないけど、僕は全然大丈夫です。変わらずに生きています」
──昨年までは練習~試合~練習の数珠つなぎでした。当たり前の日常が目の前からなくなってしまったことで、生活のバランスが崩れることはなかった?
「さすがに最初はショックでしたけど、そう思ったのはほんの一瞬でしたね。すぐに『いまの状況に対応していかないといけない』と気持ちを切り換えました」
──コロナの影響を受け今年3月に入ってから立て続けに格闘技の興行が中止に。那須川選手も、予定していた大阪と横浜の試合が延期になってしまいました。
「最初は本当に残念でしたが、なくなったから落ち込むのではなく、じゃあ次はどうしようと考えるようにしました」
──ようやく第一波は収束の方向が見えてきましたが、全人類が新型コロナウイルスによってもたらされる恐怖をいまだ感じています。
「本当に自分だけの問題ではないですからね。人も死んでしまうので、恐怖は多少感じていたけど、世間にもルールがあるので、ある程度それに沿って生きていかなければならない。コロナについては父親(弘幸=TEAM TEPPEN代表)とも話し合いました。高齢であればあるほど危険ですからね」
──大相撲の力士・勝武士さんも、新型コロナウイルスが原因で亡くなってしまいました。
「同じ競技者として何といったらいいのか……難しいですが、本当に大変なことが起きていると思いました」