フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サッカーの偉大な記録を打ち立てた、
女子クラブ・コリンチャンスの奇跡。
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byFacebook SC Corinthians Paulista
posted2020/05/30 11:30
写真は昨年10月にコパ・リベルタドーレスを制覇した時のもの。“コリンチャンス・マシン”の快進撃は続く。
女子サッカーの人気はまだ表面的。
「このチームでプレーするのは本当に楽しい。ボールに触れる回数が多いし、攻撃も守備も全員が一体となっておこなっている。嬉しいのは私の心のクラブでそれが出来ていること。父も家族も熱烈なサポーターだったから」とエリカは言う。
かくいう彼女自身が、クラブのスター選手だったマルセリーニョ・カリオカが主宰するサッカースクールの出身であった。
攻撃サッカーを進化させながら勝利を重ねたコリンチャンスにはファンも増え、ツイッターでは3万7000人、インスタグラムでは30万人以上のフォロワーを集めるに至った。そしてホームスタジアムであるパルク・サンジョルジには、常時1500人の観客が集まるようになった。
「とても家族的な雰囲気で、女性の数も多い」とエリアスは語る。
そうした中には、より情熱的だが暴力的でもある男子サッカーから宗旨替えをした人たちも少なくないという。
「女子サッカーは、メディアの中でもある程度の地位を確保できたがまだまだ十分ではない」と彼は続ける。
「人気はまだ表面的で、本当に定着させるためにはさらなる議論と分析が必要だ」
欧州女王のリヨンにも負けない!
評論家のシンティア・バルレンは、メジャーなテレビ局で女子サッカーの試合が放映されていないのが残念でならない、と言う。ただそれもコリンチャンスがさらなる成長を遂げ、ヨーロッパのビッグクラブと伍していく障害とはならない。最大のターゲットが、現欧州チャンピオンのオリンピック・リヨン(フランス)であるのは言うまでもない。エリカは述べる。
「もし戦ったらどうなるのか。フィジカルではリヨンが優っているけど、テクニックなら私たちが負けていない」
エリアスも自信をのぞかせる。
「私たちはどんな相手でも倒すことができる。誰かが試合を開催することを望んでる」
コリンチャンスからパスは出された。
受け取ったボールを、リヨンとジャン・ミシェル・オラス会長はどう返すのだろうか……。