格闘技PRESSBACK NUMBER
ネットで炎上被害にあったライターが
考える、木村花が受けたものとは?
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byEssei Hara
posted2020/05/25 20:30
日本の女子プロレス界で逸材と目されていた木村花。この悲劇を繰り返さぬために、何ができるのか。
テレビ中継の仕事で一緒に頑張った時代。
数年後、花さんは総合格闘技団体「パンクラス」でHANAという芸名のラウンドガールになった。ちょうどその時筆者はテレビ中継の解説をしていたので、一緒に仕事をするようになった。
途中から花さんはプロレスラーとしてデビューを果たし、懸命に筋トレに励んだおかげで、回を重ねるごとに他のラウンドガールとは体のサイズが違ってきたことを覚えている。
そんな花さんのことをお世辞を抜きにして悪く言う人はいなかった。「あんないい娘はいない」という声の方が大きかった。
かつて筆者はプロレス専門誌の記者として継続して取材した経験を持つので言わせてもらうが、昭和の女子プロレスは嫉妬と欲望が渦巻き、スキあらば上にいる選手の足を引っ張るようなシビアでハードな世界だった。
翻って現在、令和の女子プロレスは、スクラムを組むような形で花さんをトップに上げていくような空気すら感じていた。
持って生まれた華があったし、それほどの逸材だったのだ。
筆者が知るかぎり、その周囲の多くの人たちの意見も含め、花さんは真面目でいい子であった。しかし、それゆえに、TV番組の“演出意図”に沿った役柄を素直に演じただけなのでは……と思えてならない。
どんな対応をしても攻撃は止まず……。
筆者がどうやって自身の炎上を解決したかといえば、芸能プロで似たような事例を扱ったことのある方に相談。
「とにかくひたすら謝った方がいい」というアドバイスを受けたので、「誤解を招く表現があった」とブログで謝罪するという形をとった。その時には「この方法しかない」と藁にもすがる思いだったが、改めて振り返ってみると「別の方法があったのではないか」という後悔が残る。
案の定、その直後ブログのコメント欄を停止しても、素性がわからない発信者からの攻撃は執拗に続いた。
当時、世間を賑わしていた2チャンネルには私のスレッドが3本も立った。気分が悪くなるだけだったので、数回チェックしただけで閲覧をやめた。