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ネットで炎上被害にあったライターが
考える、木村花が受けたものとは? 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byEssei Hara

posted2020/05/25 20:30

ネットで炎上被害にあったライターが考える、木村花が受けたものとは?<Number Web> photograph by Essei Hara

日本の女子プロレス界で逸材と目されていた木村花。この悲劇を繰り返さぬために、何ができるのか。

実際にはひとりが複数アカウントで攻撃してる!?

 当時、ネット事情に詳しい人からは「たくさんの人で書き込んでいるように見えるけど、実際にはひとりの人間がいくつものハンドルネームを使っているだけで、実際にはほんの数人、もしかしたらたったひとりの人間が書き込んでいる可能性もある」という真相を聞いた。

 不特定多数と思われた不気味な敵はたった数名、あるいはひとり!? 全身から正体不明の恐怖がスッと抜け出ていった。

 仕事柄、筆者はどんな人が自分に罵詈雑言を浴びせかけたのか知りたくなった。

 許されるなら、攻撃した人たちを訪ねそれを原稿にしようとさえ思った。彼らの本名や住所は当時でも特定できるという話だったからだ。

「大勢の卑怯者が有能な人を気軽に潰す時代」

 それから時は流れた――SNSの主流はTwitterやInstagramに移ったが、匿名性を隠れ蓑にした誹謗中傷は後を断たない。

 昨今のコロナ禍で人と人のつながりが一層ギクシャクしてくると、本論から外れた言葉の刃はより鋭利なものになっていったのではないだろうか。

 ある知人は「木村花さんの死は今年一番腹が立った事件」と憤る。「何者にもなれない大勢の卑怯者が有能な人を気軽に潰す時代になったんですかね」。

 SNSの匿名アカウントによる誹謗中傷を撲滅するために、「プロバイダ責任制限法」の改正や刑事罰化を求める声も高まってきた。現行の同法は匿名アウカントの情報開示や削除依頼を求めるためのプロセスが煩雑で、結局はその発信者すら特定できず被害者が泣き寝入りするケースが多かったからだ。

 花さんの死が明らかになった翌日、誹謗中傷の書き込みは次々に削除された。しかし、削除しても、その痕跡はずっと残る。卑怯者を野放しにしてはいけない。

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