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<成長の軌跡>
コントレイル「最強の源流を訪ねて」
posted2020/05/26 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Takuya Sugiyama
牡馬クラシック戦線で堂々主役を張る青鹿毛の怪物は揺籃期、評価は高くも目立つ存在ではなかったという。なぜ彼は圧倒的な存在となれたのか。その答えが、生産と育成に携わった関係者の証言から見えてきた。(Number1003号掲載)
コントレイルの物語は、2011年9月の米国キーンランド・セプテンバーセールから始まる。ノースヒルズの前田幸治代表の代理人として、矢作芳人調教師と、ノースヒルズの福田洋志ゼネラルマネージャーが現地に赴き、コントレイルの母ロードクロサイトを38万5000ドル(当時のレートで約3000万円)で落札。その母フォークロアがブリーダーズCジュベナイルフィリーズなどGIを2勝している良血馬だ。
「血統のよさが品に現れていましたね」
そう評する矢作調教師の管理馬として走り、7戦0勝、2着2回、3着2回という成績で引退し、繁殖牝馬となった。
初仔のバーンフライは父ゴールドアリュール、2番仔のアナスタシオは父ダイワメジャー。どちらもダートで勝っている。
「最初に馬格のいい仔を出すゴールドアリュールを付けて、次はスピードを加えようとダイワメジャーを配合しました。ディープインパクトは小柄な仔に出る傾向があるので、まずは1~2頭しっかりした仔を出してくれるか確認したうえで、ディープインパクトを付けることにしました」
福田氏はそう説明する。初めてディープインパクトを配合し、'17年4月1日に誕生したのが3番仔のコントレイルである。