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WWE史上2人目のグランドスラム。
アスカ「カメラの向こうを意識して」 

text by

堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

PROFILE

photograph by2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

posted2020/05/21 11:30

WWE史上2人目のグランドスラム。アスカ「カメラの向こうを意識して」<Number Web> photograph by 2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWE史上2人目となるグランドスラムを達成したアスカ。

「あの空間には愛がありましたね」

――しかも、ロウのチャンピオンのなり方が、今までにない形ですしね。「ベッキーに勝ってチャンピオンになりたかった」という気持ちはありますか?

「もちろん、勝ってベルトを獲るのが理想ですけど、MITBで結果を出して獲得したベルトなんで。そこは胸を張って、『私がチャンピオンです』と言いたいですね。あと、ベッキーが『ベルトをアスカに渡せてよかった。なぜなら、アスカは世界で一番の選手だから』と言ってくれたので、そこもうれしかったです。ベッキーからこんな形でベルトを渡されるとは思わなかったけど、これはこれで歴史に刻まれる、ドラマチックな流れやったと思いますし。あの空間には愛がありましたね」

――ベッキーからあの場で「私は母になる」って言われたとき、どう感じましたか?

「まさか、あそこで『お母さん』という言葉が出てくるとは思わなかったので、『えっ?』って感じで、最初すぐには理解できなかったんですけど。聞き返してみたら、『そうや』みたいな反応やったんで、『ウソでしょ~?』って。彼女も感極まって目に涙をためてたんで、『うわ、これホンマや~!』って。なんか私までムチャクチャうれしかったです」

――ベッキーは、これまでさんざんやりあってきた相手ですよね。

「そうですね。ベッキーとはずっと試合してきたんで。最初の頃は、私がベッキーに勝ち越してたんですけど、後半はタイトルを懸けた試合でも負け越していて。でも、敵対しながらも、闘いの中でどこかでシンパシーを感じあっていたんですよ。

 彼女は私との闘いが好きやったと思うし、私のことも好きやったと思う。私ももちろん、ベッキーのことが好きやったし。でも、お互い『勝ちたい』というライバル心があって、なかなかそういう気持ちを伝えることはできなかったけど、今回こういう機会があって、本当に感慨深かったですね」

ーー抗争もヒートアップして、ちょっと前までは、アスカ選手が「こいつアホやで! バーカ、バーカ!」って日本語で言い放っていた相手でしたもんね(笑)。

「ホンマに、ボロクソ言うてましたもんね(笑)」

「カイリちゃんの存在は、大きい」

ーーそういう流れがあったからこそ、なおさら感動的だった気がします(笑)。ロウ女子王座を獲得したあと、バックステージではカブキ・ウォリアーズのパートナーであるカイリ・セイン選手と喜びを分かち合ってましたけど。ここまでこれたのは、春まで一緒にタッグ王座を保持していた、彼女の存在も大きいですか?

「カイリちゃんの存在は、大きいですね。いつもめちゃくちゃ癒されてます(笑)。私は日本にいるときからそんなにレスラー同士で話したり、食事に行ったりとかしないほうなんですよ。でも、カイリちゃんはすごく話しやすいし、いろんな話を聞いてくれるし。素晴らしいタッグパートナーですね。去年からは一緒にタッグチャンピオンになり、最長保持記録も作って、レッスルマニアにもチャンピオンとして出ることができましたからね」

――タッグを組んで、ふたりで言葉のやり取りをすることで、アスカ選手のキャラクターやパーソナリティが、よりWWEユニバース(ファン)に届くようになった気がします。

「カイリちゃんはノリがいいんですよ。私がガーッとしゃべると、餅つきみたいに、いい合いの手を入れてくれるんですよね(笑)。これからも2人でがんばっていきたいです」

【次ページ】 「無観客」は何も苦ではない。

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