ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
WWE史上2人目のグランドスラム。
アスカ「カメラの向こうを意識して」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
posted2020/05/21 11:30
WWE史上2人目となるグランドスラムを達成したアスカ。
「無観客」は何も苦ではない。
――今、新型コロナウイルスの影響で、WWEも無観客が続いています。ベッキーとの感動的なシーンも、あれが超満員のアリーナだったらまた違った光景になっていたと思いますけど、無観客だったことについてはどういう思いがありますか?
「でも、これはこれで良かったとは思いますね。お客さんがいるところでももちろん良かったと思いますけど。2人だけのところで、しんみり打ち明けてもらえたのも、ドラマチックやったんやないかと思いますね。こういうシチュエーションって、なかなかないことやとも思いますし」
――すごく記憶に残って、「あのコロナ禍の真っ只中で、ベッキーは妊娠を告白し、アスカがグランドスラムを達成した」と、後々まで振り返られるかもしれませんしね。新型コロナウイルスの影響による生活面での影響はどうですか?
「やっぱりアメリカは日本よりもっともっと影響が大きいですね。買い物とか、生活する上で最低限必要なこと以外は、すべて家にいないといけないので。ただ、私はホームジムを作ったんで、トレーニングもしっかりできてますから、大丈夫です」
ーー無観客での試合には慣れましたか?
「無観客は最初から何も苦にしてなかったですね。逆に『この状況は私に任せてくれ!』って感じでした。私は日本にいる時から、本当にいろんなところで試合をしてきましたし、どういう状況でも対応できる自信はあるので。それに会場にお客さんがいなくても、カメラの向こうでは何百万人というWWEユニバースが見てくれているし、これまでも“カメラの向こう”を意識してやってきたので、そんな変わらへんよなっていうのはありますね。
あと、無観客という状況だからこそできることもあるって、今回のMITBでも気づかせてもらえましたし。もっともっと新しいことをクリエイトできるなってことを感じてます」
ーープロレスの試合には、まだまだ新たな可能性がある、と。
「可能性はむちゃくちゃありますね。それに、あらためて『さすがWWEやな』とも感じました。今回のMITBも本社ビルを使っての開催だとか、これまでは考えられないことじゃないですか。すごく新鮮やったと思うし。そういう大会に参加できて、自分が『Ms.マネー・イン・ザ・バンク』になれたのは誇りですね」
アスカが感じる責任と伸びしろ。
――それと同時に、こういう困難な時代に自分がチャンピオンになった責任感もありますか?
「責任感はめちゃめちゃ感じてます。やっぱりロウのタイトルを獲ってみて、『WWEの一番の本線であるロウのチャンピオンというのは、ホンマWWEの顔なんやな』っていうのを実感しました。タイトルを獲ってから、めちゃめちゃ忙しいんですよ。取材やら撮影やらひっきりなしなんで。でも、こういう状況でタイトルを獲ることができるって、なかなかないことやと思いますし、ロウのウィメンズチャンピオンとして、新しいことをクリエイトしていきたいですね」
――WWEの中でも女子部門は伸びしろ、可能性がすごくありますもんね。
「最近はPPVでも女子がメインを何度も取ってますし、時代は変わったな、と思いますね。その中心に私たちがいるのは、本当にうれしいことやし。私たちが変えたと思ってます」
――では最後に、日本のWWEユニバースにメッセージをお願いします。
「ロウのウィメンズチャンピオンとして、日本のWWEユニバースの皆さんに早く会いたいですね。今、なかなか外出もできない大変な状況が続いていると思いますけど、テレビや配信を通じて、『WWEって、こんなにおもしろいんや』っていうものを、WWE女子の顔として見せていこうと思っているので、それを楽しんでもらって。この状況下、一緒にがんばっていきましょう!」