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イタリアが称える冨安健洋の才能。
「ボローニャに収まる器じゃない」 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/05/14 11:40

イタリアが称える冨安健洋の才能。「ボローニャに収まる器じゃない」<Number Web> photograph by Getty Images

セリエA初年度は終盤戦に中断となっているが、冨安健洋の現地評価は確実に高まっている。

守備だけでなく展開力も目を見張る。

 カタログスペック止まりではなく、実戦で期待以上の働きを見せてきた。対人守備能力や当たりの強さはもちろん、縦へのスピードとドリブルでの展開力には目を見張る。攻撃の組立ては大きな武器で、ゲーム中に右サイドから前線を見通す冨安が放つ最初のパスが、チームにとって攻撃の足がかりとなる場面も多かった。

 敵地で強豪に逆転勝ちした第14節ナポリ戦は出色のパフォーマンスだった。細心の注意で危険の芽を正確に潰し、ボールキープの場面では肉弾戦も厭わない。攻めでも守りでも積極性を見せた。度胸も新人離れしていて、本当に今季セリエAデビューの21歳かと何度も目を疑った。

 マルチタスクを課されているせいで集中力が落ちる時間帯のあることや、ハイボールの競り合いなどに向上の余地があるとはいえ、SBもCBもできる冨安のような人材が1人いれば戦術の幅は大きく広がるのだから、彼を欲しがらない指導者は少ないだろう。

 現地紙記者が「まるでイタリアで生まれ育ったようにクラブにも新生活にもすぐに馴染んだ」と驚くように、順応性も問題ない。

 各クラブの強化担当者の頭にはすでに「トミヤス」の名が刻まれているはずだ。今年2月の対戦で煮え湯を飲まされたローマが、食指を動かしても何の不思議もない。

冨安以上に強烈な新人DFクムブッラ。

 もし今夏に予定通り東京五輪が開催されていたら、冨安は開催国チームの守備の柱となるはずだった。

 果たして、彼と同じレベルでプレーする同世代が今季のカンピオナートにどれだけいるだろうか。

 今季、冨安以上のインパクトを与えた新人DFといえば、2000年生まれでベローナ生え抜きのクムブッラだろう。

 昇格組ながら現在8位と躍進するベローナは、2月上旬の第23節で8連覇王者ユベントスに2-1で逆転勝ちし、国中を仰天させた。

【次ページ】 D・コスタ、ディバラを完封。

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