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イタリアが称える冨安健洋の才能。
「ボローニャに収まる器じゃない」
posted2020/05/14 11:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
ボローニャDF冨安健洋が再始動した。
5月4日、イタリア政府による国民の活動制限が一部解禁され、セリエAの各クラブが選手を練習場に呼び集めつつ、少人数単位での練習を実施することが可能になった。
翌5日にはボローニャのカステルデボレ練習場にも第一陣として14人が集まり、その中に冨安の姿もあった。チーム全体の団体練習解禁は18日以降とされている。
ボローニャの他にセリエAの3クラブを抱えるエミリア・ロマーニャ州は、感染中心地として最初に移動制限がかかった北部4州の1つだ。2月中旬、ジェノア戦を取材に行った際、1人暮らしで自炊していると聞いた冨安の身を心配していただけに、クラブ広報から元気だと伝え聞いて、ほっとした。
練習再開を誰より喜んでいるのはミハイロビッチ監督かもしれない。
白血病を患う身でありながらホテルでじっとしているのを心底嫌う闘将は、練習解禁と同時にグラウンドに顔を出し、腹筋運動やランニングで汗を流している。9日には、ソーシャルディスタンスを保ちながら選手たちと2カ月ぶりに再会した。慣れ親しんだ芝の上で、彼らもようやく自分たちの職場に帰ってきた実感を得たことだろう。
ローマが獲得に向けて熱視線?
そんな折、「ローマが冨安獲得に熱入れる」という報道が出た。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』などの現地メディアが報じたもので、“1000万ユーロあたりでの買取りを打診したローマに、最低2000万は積んでもらわないと話にならん! とボローニャが突っぱねた”という内容だった。
セリエA再開の可否は18日の団体練習解禁を経て、この先、何らかの道筋がつけられる見込みだが、その前に冨安に対する現在の評価を考えてみたい。
“ボローニャの日本人テルツィーノ(=サイドバック)”は、今季のセリエAに新鮮なサプライズをもたらした。
3月9日に中断した第26節までに20試合に出場し(すべて先発)、決めたアシストは2本。188cmのサイズを備えた冨安は、将来有望な本格派DFとして評価を固めつつある。