スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
KBOの開幕とMLBの具体案。
投手・大谷翔平は序盤から見られる?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2020/05/09 11:40
3月11日、アリゾナ州テンピでのキャンプ中では最多の59球を投じていた大谷。
もし万が一、選手に感染者が出たら……。
ついでにいうと時差の問題も面倒だ。
もし西海岸の午後7時に試合開始をするとしたら、東海岸では午後10時のプレーボールとなる。翌朝から働く人たちは、午前1時や2時ごろまで、試合を見ているわけにはいかないだろう。
気候を考えると、アリゾナやカリフォルニアで夏のデーゲームを行うのは大変だが、試合開始が午後6時に繰り上げられる可能性はなしとしない。
そして最後に、最大の難問が控えている。
衛生管理には万全が期されるだろうが、もし万が一、選手のなかに(とりわけ中心選手に)新型コロナウイルスの感染者が出た場合には、すべてのプランが水泡に帰してしまう恐れがある。
どんなに安全が最優先されようと、この悪辣なウイルスに対しては「絶対安全」という言葉を使うことができないのだ。
シーズン序盤から大谷が投げる姿を見られる?
これはもう、治療薬やワクチンの一刻も早い開発を待つとしかいいようがない。
MLBも、テレビ放映権などによる今季の収益の何割かを、医療従事者や製薬会社の実験室に醵出してはどうだろうか。
新型コロナウイルスとの共生が可能になれば、野球は安心して開催できるはずだし、われわれ観客も、野球の楽しさに安んじて身を任せることができると思う。
そうなれば、ひと筋かふた筋、希望の光明も見えてくる。たとえば、仮に7月初旬に大リーグ開幕が実現するとすれば、われわれは、トミー・ジョン手術から復活した大谷翔平が投げる姿を、シーズン序盤から眼にすることができるかもしれないのだ。
こんなことを口走るのは時期尚早だろうが、大谷はすでに週2回、ブルペンでの投球練習をはじめていると聞く。打者を打席に立たせての実戦的投球練習の開始も、そう遠くはないことだろう。
地元アナハイムでの試合が多くなれば、大谷が活躍する機会はきっと増えるにちがいない。