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降格危機ヴェルディを5戦で救った。
野獣エジムンド逸話と技術の凄味。
posted2020/04/26 08:00
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
AFLO
左腕で相手を押し込みながらボールを前に運び、ゴールに接近していく。特段、スピードがあるわけでもなく、サイズは173センチ、72キロと小柄な部類に入る。ただ、相手にボールを触らせないだけ。ぬるぬると抜いていくドリブルは誰とも似ていなかった。
2001年、J2降格の危機に瀕していた東京ヴェルディ1969(現東京ヴェルディ)の救世主となったエジムンドだ。
1998年のFIFAワールドカップ フランス大会で準優勝したブラジル代表のメンバーで、当代随一のテクニックの持ち主。その一方で素行の悪さからアニマウ(野獣)と呼ばれ、トラブルメーカーとしても名高い選手だった。
東京Vは'01年10月18日にエジムンドの獲得を発表し、同23日からトレーニングに合流。ひと月前の9月11日、アメリカで同時多発テロが起こり、世界的な騒乱の気配が色濃く漂うなか、来日に備えたのを私は記憶している。
残り5試合で2戦連発など大活躍。
残り5試合で加入したエジムンドは、攻撃の中心として大暴れした。
JリーグデビューとなったJ1セカンドステージ第11節のセレッソ大阪戦、第12節のヴィッセル神戸戦と2試合連続ゴール。最終節のFC東京戦は、エジムンドがドリブル突破を仕掛け、こぼれ球を永井秀樹(現東京V監督)が蹴り込んだのが決勝点となった。シーズン終盤は3勝1敗1分けの成績でアビスパ福岡を競り落とし、東京VはJ1に生き残るのである。
この短期間の契約でエジムンドの報酬は3000万円(来季の契約オプション付き)と言われたが、安いものだっただろう。東京Vはのるかそるかの大博打に勝った。