草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
梨田昌孝の人生を彩るドラマの数々。
伝説の10.19、代打北川、遺跡発見。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2020/04/23 11:40
「いてまえ打線」を率いてパ・リーグを制覇した2001年。梨田が代打に送った北川が代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームランを放った。
「梨田移籍」ならぬ「梨田遺跡」?
梨田氏の人生には数々のドラマがある。その番外編が「梨田のイセキ」。
現在は世界遺産に登録されている大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」のエリア内に、「はさみ山遺跡」がある。古墳時代よりはるかに古い地層も含まれており、旧石器時代の2万2000年前、日本最古の住居跡が発見されたのは1985年のことだった。
なんと、その遺跡は梨田氏が自宅を兼ねたテナントビルを建てるために購入した550平方メートルの土地の下だったのだ。
柱の跡やナイフ型石器も発掘され、当時は大騒ぎに。野球界によくある「梨田移籍」ならぬ「梨田遺跡」。実際、20センチの砂を盛って土中保存された遺跡は「梨田地点」と命名されている。史跡に指定されれば、所有者にとっては法的な制約がつき、何かと面倒になる。しかし、梨田氏は「すごいこと。ラッキーだと思わなきゃ」と明るく受け止めた。
NHK解説者としてのさわやかな語り口、北川に劣らぬ笑顔、番記者を苦笑いさせるオヤジギャグ……。誰からも愛される梨田氏の1日も早い退院を祈りたい。