欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
EURO延期はイングランドに追い風?
ケイン復帰とマウントら逸材の台頭。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/04/22 11:30
チェルシーで日々実力をつけているメイソン・マウント。“EURO2021”での躍動を見たい。
中盤で最も進境著しいマウント。
マンチェスター・シティのフィル・フォデン、レスターのジェイムズ・マディソン、エバートンのトム・デイビスなど、中盤にも数多くの優れたタレントが目につくが、最も成長しているのはチェルシーのメイソン・マウントだ。
「1戦1戦逞しくなっている。シーズン開幕前、先発に起用できるとは考えていなかった。いずれチェルシーは、マウントを軸に据える時期がやって来る」
マウントの将来に太鼓判を押したのはフランク・ランパード監督だ。アンダー世代から高く評価されてきた運動量とテクニック、勝負根性に加え、プレミアリーグを経験したことで判断力も身についてきた。
「監督のような選手になりたい」とマウント本人が語ったように、理想像はランパードである。それは、まだまだ遠い。“ランパード選手”の足もとにも及ばない。ただ、ジェラードの後継者といわれるアレクサンダー・アーノルドと、ランパード2世をめざすマウントが数年後のイングランド代表を率先する。
夢があっていい話じゃないか。想像するだけで胸がときめいてくる。
頼りになるジョーダン・ヘンダーソンが6月に三十路を迎え、24歳のデル・アリと26歳のエリック・ダイアーが精彩を欠いているため、イングランド代表の中盤がアレクサンダー・アーノルドとマウントを軸に、大幅な世代交代を迎えたとしても不思議ではない。
アタッカーで注目はルーウィン。
ハリー・ケイン、ラヒーム・スターリング、ラッシュフォードはイングランドが世界に誇るアタッカーで、付け入る隙はいまのところない。
しかし、ドルトムントのジェイドン・サンチョ、チェルシーのタミー・エイブラハム、カラム・ハドソン・オドイいったスター候補生が、虎視眈々とレギュラーポジションをうかがっている。
ドミニク・キャルバート・ルーウィンもその1人だ。所属するエバートンの監督がマルコ・シウバからカルロ・アンチェロッティに代わると突如として覚醒。12試合で8ゴールを挙げ、合計13ゴール。得点ランキングでも8位タイまで急上昇した。
187cmの長身を利して空中戦に強く、足もとのボールコントロールも柔軟だ。また、ハードワークを厭わず、1対2の数的不利でも相手CBの間を突破する頑健さも装備している。いうなればケインに最も近いタイプだ。