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井原正巳の献身とジョホールバル。
1998W杯予選、解説席からの記憶。 

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水沼貴史

水沼貴史Takashi Mizunuma

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posted2020/04/17 11:30

井原正巳の献身とジョホールバル。1998W杯予選、解説席からの記憶。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

岡田武史監督に岡野雅行、カズ……彼らを最終ラインで支えたのが主将の井原正巳だった。

アルゼンチン戦での最高の雰囲気。

 本大会も現地で取材することができました。あの時のフランスには、キリンカップと錯覚するほど(笑)、本当に多くの方が応援に駆けつけていましたね。最高の雰囲気で、OBとして素直に羨ましいなって思いました。

 残念な結果にはなりましたが、あの激闘を戦い抜いたからこそ、世界への一歩を踏み出せたわけです。バティストゥータ(アルゼンチン代表)のようなワールドクラスと戦えたことは、選手たちにとっても、観る人たちにとっても大きなことだったでしょう。

 この激闘を振り返る上で、もう1つエピソードがあります。予選が終わった後、ラジオ局が特番を作ったんです。すべてのゴールシーンの実況や選手のインタビューを盛り込んで、戦いを振り返る作品で、それが素晴らしい番組だったんです。

 今と違ってアナログな時代。スタッフさんたちがテープをつないで、切り貼りしながら編集するわけです。その番組を聴いて、あの予選には本当にみんなの思いが詰まっているんだなと感じたことが忘れられません。緊迫した中、一挙手一投足を伝えた報道陣。一瞬のプレーを狙い続けたカメラマン。全員で戦い抜いたW杯予選だったように思います。

 そこに立ち会えたことが私の何よりのナンバーワンです。

(構成/谷川良介)

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