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錦織圭14歳、激闘の末の真骨頂。
小さな怪物の粘りと覚悟に痺れた。 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHidehiro Akiyama

posted2020/04/06 19:00

錦織圭14歳、激闘の末の真骨頂。小さな怪物の粘りと覚悟に痺れた。<Number Web> photograph by Hidehiro Akiyama

ジュニアのデ杯を戦った当時の錦織圭。16年後の今も世界トップのテニスプレーヤーとして戦っている。

弱肉強食の世界の真っ只中だった。

 錦織はこの大会で男子の最年少選手だった。だが、本人にその意識はあったかと聞くと、小さく首をかしげ、こう答えた。

「(年下でも)勝っていかなくてはいけないので……」

 彼は、何より勝つことが大事と知っていたのだ。当時、アメリカのIMGアカデミーに籍を置いて約1年が経過。両親の庇護を離れ、弱肉強食の世界の真っ只中にいた。

 だから、年齢に関係なく、どの相手にも勝たなければ意味がないと分かっていた。「才能がある」などという周囲の評価も耳に入っていたに違いない、しかし彼は、おだて文句には一文の価値もないと分かっていただろう。

 日程を終えた錦織に次の目標を聞くと「ITF(ジュニアツアー)にいっぱい出たい。そこで強い選手とやって、強くなっていきたい」と答えた。

 14歳の彼は、すでに心に決めていたのだ。勝つこと、生き残ること、そうしてテニスの世界で生きていく、と。

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