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五輪は延期でも練習難民は続く。
「選手である前に、社会の一員」 

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2020/03/26 11:50

五輪は延期でも練習難民は続く。「選手である前に、社会の一員」<Number Web> photograph by AFLO

4年に一度、いや人生に一度の機会である五輪の状況が不透明な中でも、多くのアスリートは自制心を持って行動した。

「スポーツ選手は基本的に自分勝手だけど」

「スポーツ選手というのは、基本的に自分勝手、自己中心的じゃないとできない。私も今までそうだった。自分はスポーツ選手だからと許される部分もあった。でも、今は違うと思う。オリンピックだとしても、自分勝手さは許されない。

 私たちが練習のために外出したり、遠征に行ったりすることで、自分はもちろん、自分の大切な誰か、会ったこともない誰かにウイルスを移してしまうかもしれない。それは『自分勝手ですみません』では許されない問題だと思う。スポーツ選手である前に、1人の人間。この社会で生きる一員として、どう振る舞うか考えなきゃいけない。そのためにも東京五輪は延期してほしい」

 サンディはそう訴えた。

 選手や関係者たちは延期決定の知らせに安堵をみせたが、同時に目の前に迫っていた目標が離れてしまったことに空虚感を感じている選手もいる。すぐに切り替えることは難しいと思うが、社会の一員として『正しい選択、行動をした』彼らが、来年、笑顔で東京に臨めることを祈りたい。

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