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投手・大谷翔平が開幕に間に合う?
いま思い出す、野茂英雄の言葉。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2020/03/25 11:50
今シーズンは再び投打の二刀流での活躍が期待されていた大谷翔平。投手での復帰は5月中旬がメドとされていた。
監督の大谷への信頼は絶大。
現在、大半の球団がフロリダ、アリゾナにあるキャンプ施設を閉鎖している。集団で練習するリスクを避け、個人練習が感染拡大を防ぐと言う指導のもとだ。
その中、エンゼルスもキャンプ施設を閉鎖した。球団によれば、大谷は現在もアリゾナで個人練習を続けている。近いうちに自宅のある南カリフォルニアに戻る予定と言うが、マドン監督は電話会見で「日本に帰ってもいい」と、一時帰国を許可したことを明かした。
「いい状態を保ってくれるはずだし、我々が求めているものも理解している」
信頼は絶大と感じた。
ストライキとも似ている状況。
過去、メジャーリーグは幾度もシーズンの中断や短縮を経験してきた。筆者も米国での25年に及ぶ取材経験の中で2度の体験をしている。最初は1994年8月から1995年4月下旬まで続いたストライキのとき。2度目は2001年9月11日に起こった同時多発テロのときだった。
今回の状況は選手の準備という観点で考えればストライキの時に似ていると感じる。
1995年3月初旬。先駆者・野茂英雄はストライキの真っ只中、当時ロサンゼルス・ドジャースのキャンプ地だったフロリダ州ベロビーチにあるドジャータウンに降り立った。
ストライキの最中、メジャー契約ではキャンプ施設での練習は許されなかったが、当時の彼はマイナー契約でのスタートだった。だから許された球団施設での準備。先の見えない中、備えは始まった訳だが、彼がネガティブになることは一度もなかった。
「ストライキはいつかは終わりますから」
前年、右肩を痛めていた彼にとって、温暖な地でじっくり時間を与えられた調整は功を奏した。その後の結果は周知の通りだ。
時を今に進めれば、選手に多くの時間が与えられたことは当時と同じだ。その時間をどのように使い、どのようにして結果へと繋げるのか。言い尽くされた言葉ではあると思うが、それがプロとしての使命であろう。