メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「国家非常事態宣言」までの2日間。
米国スポーツ、分刻みのコロナ禍。
posted2020/03/24 07:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
文字通り、あっという間だった。
メジャーリーグ(MLB)のオープン戦が始まってしばらく経った3月10日、シンシナティ・レッズのキャンプ地アリゾナ州グッドイヤーで行われたレッズ対ダイヤモンドバックス戦の試合前、Twitterで1つのニュースが飛び込んできた。
「アイビーリーグが男女のバスケットボール・トーナメントのキャンセル(中止)と、(その他の)春スポーツの観客を限定する旨を発表した」
アイビーリーグとはアメリカ合衆国北東部に点在する私立大学の総称だが、全米各地に散らばるカレッジ(大学)スポーツ連盟の1つとしても名高い。3月から4月にかけてシーズン佳境を迎えるバスケットボールやアイスホッケーの大会を中止するのは、1つの大英断だった。
アメリカが一気に日本のように。
当時すでに、新型コロナウイルスが中国や日本などの東アジアで感染範囲を広げており、日本では選抜高校野球が中止となったり、プロ野球のオープン戦や大相撲の春場所が無観客で行われていた。
その流れを考えれば、アメリカのスポーツ界が日本のようになっていく状況は容易に想像できたが、それがさらに実感できるようになるのに、時間はかからなかった。
翌11日の午後3時(合衆国東部時間、以下同)、アイビーリーグが春スポーツの今年度における全面的な大会と練習の中止を発表し、その数分後に全米大学体育協会(NCAA)がこれから本格的に始まろうとしていた大学バスケットボール・トーナメントが「(関係者や家族のみで)ほぼ無観客試合で行う」と発表。
午後6時にはサッカーのイタリアの強豪ユベントスのダニエレ・ルガーニ選手が新型コロナウイルスに感染しているというニュースが流れた。午後9時27分には米バスケットボールNBAのユタ・ジャズのルディ・ゴベール選手が同ウイルスに感染しているというニュースが流れ、その数分後には「NBAは2019年に開幕して、真っ只中だったシーズンを即時中断する」という臨時ニュースが流れる。