サムライブルーの原材料BACK NUMBER
イニエスタがいる「日常」の大切さ。
Jリーグ、無観客でも見ていたい……。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/03/24 07:00
今季開幕戦、試合前に握手を交わすヴィッセル神戸のイニエスタ(右)と横浜FCの伊野波雅彦。早くこの光景が戻ってきてほしい。
普段と変わらない姿勢でいることの大切さ。
心に残った森山さんの言葉がある。
「打ちひしがれながらふとテレビをつけるとバルサの試合がやっていました。カンプノウにいつものようにイムノ(バルセロナの応援歌)が響き渡る。
試合開始直前に震災に遭った日本に対し1分間の黙祷があって、ピッチ、そしてスタンドが凛とした静寂に包まれました。レフェリーが笛を吹くと歓声が沸き上がり、さっきまでの静けさが嘘のようにピッチ上で選手たちが躍動しサポーターが熱狂しているんです。
変わらないその光景を見てどれだけ勇気づけられたことか。そこには遠い海の向こうの試合に興奮するいつもの日常があった。普段と変わらない姿勢でいることが誰かを勇気づけるんだよなって改めて感じました。
後に御徒町から『「そしてイニエスタ」はある意味で俺たちにとっての復興ソングなんだよ』っていう話をされて妙に腑に落ちたのを覚えてます」(997号から抜粋)
単にバルサを愛する歌ではない。そこに「サッカーのある日常」いや「あるべきものがある日常」の尊さをさりげなく、そっと手を差し伸べるように語ってくれている。
ゆったりとしたメロディーと森山さんの優しい歌声が、あるべき日常を感じさせてくれる。
スポーツは日常であり、希望。
今、世界は新型コロナウイルスに揺れている。
感染拡大防止の観点に立てば世界中のスポーツが開催中止、延期となるのは致し方ないことだ。人々の健康が最優先されなければならない。
F-1も、NBAも、欧州サッカーも止まった。カンプノウでイムノが響くこともなくなった。感染の急激な拡大によって世界中の人々は不安に包まれている。
スポーツは日常であり、希望。不安をやわらげる効果もあるだろう。免疫力を高めるにはストレスを減らすこと、楽しむことがとても大切だと聞く。