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11歳差だけではない。全英制覇、
バド遠藤&渡辺組の異色の経歴。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byItaru Chiba
posted2020/03/22 09:00
全英オープンで男子ダブルスとしては日本勢初優勝を達成した遠藤(右)、渡辺ペア。
同年代が組むことが多い中、異色の2人
試合のあと、遠藤はこう語っている。
「過去に賢一と組んだ経験、勇大が優勝した経験が合わさって優勝できました」
年齢は遠藤が11歳上、同年代が組むことが多い中、異色の2人は、その言葉にあるように、それぞれの道を歩んできた。
遠藤には、長年組んでいた選手がいる。早川賢一だ。
遠藤と早川は全英オープンで2013、2014、2016年と3度準優勝、2015年の世界選手権では銅メダルを獲得。しかし、メダルを期待された2016年のリオデジャネイロ五輪では、1次リーグ3戦目の試合前、早川が腰を痛め、決勝トーナメントに進んだものの、初戦で大会を終えた。
帰国後、遠藤は早川から引退することを伝えられるとともに、「続けてほしい」と言われた。
どこかで「もっとやれる」という遠藤の無意識の思いに気づいていたのだろう。
ミックスダブルスでも一定の実績。
今日へとつながる出来事がもう1つ、あった。渡辺からの「僕と組んでください」という申し出だった。渡辺には、遠藤と組むことで自分がもっと成長できる、という思いがあったという。
遠藤の新たな道が開けた。
渡辺にも、野心があった。
渡辺は、ミックスダブルスでもすでに一定の実績をあげていた。
福島県富岡町立富岡第一中学校の1学年先輩である東野有紗と組み、2014年の世界ジュニア選手権に出場しベスト4になるなど実績を残していた。
2016年にはミックスダブルスの日本B代表に選出されている。遠藤と組んだあとの2018年の全英オープンでは、ミックスダブルスでは日本初の優勝を飾るなど、たしかな足跡を刻んできた。