オリンピックへの道BACK NUMBER
11歳差だけではない。全英制覇、
バド遠藤&渡辺組の異色の経歴。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byItaru Chiba
posted2020/03/22 09:00
全英オープンで男子ダブルスとしては日本勢初優勝を達成した遠藤(右)、渡辺ペア。
それぞれに決意を抱えた2人が成し遂げた。
遠藤とのコンビ結成は、2つの種目で東京五輪を目指すことを意味していた。
ただ、複数種目でトップクラスを目指す、結果を残すケースは極めて少ない。遠藤と組んでから、「どちらか1つに絞った方がいいのに」、そんな声も聞かれた。
それでも渡辺自身は、「自分にはできると思っています」と自身の道を進んできた。
それぞれに決意を抱えた2人が成し遂げたのが、今回の優勝だった。
東日本大震災で避難をよぎなくされた経験。
帰国した2人は、こうコメントしている。
「ほんとうに勝ちたい大会でしたので、あらためて勝つことができてうれしいです」(遠藤)
「素晴しい大会で最後までコートに立って優勝できたことを自信に変えて頑張りたいです」(渡辺)
オリンピックの開催に関してはコロナウィルス感染の世界的な拡大という不安がある。
「命の方が大切ですし、国の決定に従うべきです」(渡辺)
渡辺は、2011年の東日本大震災で避難をよぎなくされた経験もある。落ち着いた物腰には、そんな時間がいかされているのかもしれない。
リオで完全燃焼しきれなかった遠藤、2種目での世界一という目標を持つ渡辺、それぞれの目線を持ちつつ、時間をかけてコンビネーションを磨いてきた2人の足が止まることはない。