濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
道場マッチに後楽園、路上プロレス。
マット界の無観客試合は多種多様。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/03/12 20:30
3月8日のスターダム後楽園ホール大会。無観客の会場は異様な光景だったが、スモークを使った演出など独自の楽しさも。
「無観客」は「ファン不在」ではない。
青木は2015年12月29日のRIZIN旗揚げ大会で桜庭和志と対戦して以来のさいたまスーパーアリーナだったそうだ。PRIDE時代も何度も試合をした“思い出の場所”で目隠し乳隠しデスマッチ。ベルトを巻いた青木は言った。
「この落差のある人生がいいでしょ。僕しかできないことをやってる自負がある」
道場マッチ、路上プロレス、爆破マッチにブラジャーはぎ取り、そして無観客。それらすべてがプロレスだ。
単に観客がいない中で競技を行なうのではなく、さまざまな形で“無観客用のプロレス”ができてしまうのがこのジャンルのたくましさ。
そして「無観客」とは「ファン不在」とイコールではない。選手たちは他の誰でもなく、カメラの向こうのファンに向けて闘うのである。ネット通販のサービス強化やトーク番組の配信などまで含め、団体と選手、ファンの関係性の中にこそ“プロレス”があると言ってもいい。
そこにウィルスが入り込む隙はない。