濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
道場マッチに後楽園、路上プロレス。
マット界の無観客試合は多種多様。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/03/12 20:30
3月8日のスターダム後楽園ホール大会。無観客の会場は異様な光景だったが、スモークを使った演出など独自の楽しさも。
“ピンチはチャンス”がこの世界の鉄則。
そんな中、現シングル王者で“スターダムのアイコン”と呼ばれる岩谷麻優は「いつもはお客さんの声に乗せてもらってるんですけど、今日はマイペースでできました」と言う。“無観客なりのテンション”を即座に作ってしまうのも才能か。
客席の階段を上から下まで転げ落ち、対戦相手の鹿島沙希をリング下に投げ捨て、勝利した後は解説席の獣神サンダー・ライガーと1対1のコール&レスポンス。
彼女は誰よりも「ノーピーポー」の闘いを満喫し、その上で「結果的にいつもより多くの人が見てくれたのかなと。何も考えず見てもらえたら、誰かのファンになると思う」と大会の意義を見出した。
“ピンチはチャンス”がこの世界の鉄則だ。後楽園無観客試合という異例の大会は、スターダムの一大プロモーションになったのではないか。
「路上無観客電流爆破」の衝撃
DDTは3月11日に、さいたまスーパーアリーナでリングを使わない「路上プロレス」を開催している。
メインは大仁田厚も登場しての電流爆破デスマッチ。つまり「さいたまスーパーアリーナ路上無観客電流爆破デスマッチ」である。
もともと6月7日に開催される同会場でのビッグイベントに向けたプロモーションとして予定されていたものだが、すかさず『不要不急の路上電流爆破プロレス』というタイトルをつけるあたりがDDTらしい。
セミファイナルでは、DDTにレギュラー参戦しているMMAファイターの青木真也が「目隠し乳隠しデスマッチ」でHARASHIMAに勝利し、EXTREME級王座を奪取している。これは目隠しをして闘い、相手のブラジャーをはぎ取ったら勝ちという特殊ルール。経験した選手によると、その緊張感は「まさにデスマッチ」らしい。