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無観客開催・春場所の危機を好機へ。
朝乃山、炎鵬、徳勝龍らに注目! 

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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photograph byKyodo News

posted2020/03/07 08:00

無観客開催・春場所の危機を好機へ。朝乃山、炎鵬、徳勝龍らに注目!<Number Web> photograph by Kyodo News

朝乃山にとって、大関取りの絶好の機会となるはずの春場所。無観客の困難を乗り越え、思い切った取り組みを期待したい。

38年ぶりの一人大関は、危機か好機か?

 新小結の先々場所は11勝。新関脇の先場所は6勝5敗と後がない状況から4連勝で勝ち星を辛うじて2桁に乗せ、チャンスをつないだ。開き直りが奏功した形だが、それも確かな地力があるからこそ。特に14日目は大関貴景勝に土俵際まで押し込まれ、絶体絶命の窮地から左上手に手が届くと投げの打ち合いを執念で制し、貴重な白星をもぎ取ったことは大きな自信になったに違いない。

 大願を成就させるためには12勝は欲しいところだが、38年ぶりの一人大関という情勢は朝乃山にとっては追い風になるだろう。

 大関は最低でも東西に1人ずついるのが番付の大原則。過去の例からいけば、今場所のようなケースでは多少星数が物足りなくても昇進ということも少なくない。横綱を倒して11勝ならば、その可能性は十分あるだろう。

 成績もさることながら、大関取りにはムードや勢いも大事な要素だ。

 勝ち進んでいけば、ファンの声援も日増しに多くなって昇進ムードが形成され、それが後押しとなってプラスアルファの力が発揮されるのは想像に難くないだろう。

 しかも、大阪は大学時代を過ごしたいわば“第2の故郷”。本来なら地の利を生かせるはずが、無観客で開催される今場所はこうした“化学反応”を土俵上で体感することができない。いかに自身の中で集中力を高め、気持ちを盛り上げていけるか、今場所はより一層、精神力が問われてくるかもしれない。

「ここまで来たら優勝を目指す。高い目標を持ってモチベーションを上げていきたい」と本人は大関取りのさらに先を見据えている。

幕内力士42人全員に優勝のチャンスが!

 その優勝争いは白鵬、鶴竜の両横綱の出場いかんによって展開も変わってくるだろう。

 横綱が休場で不在となった先場所は幕尻の徳勝龍が千秋楽、大関貴景勝を会心の相撲で撃破して史上最大の“下剋上優勝”を成し遂げた。

 こうした番付の権威や意義が問われかねない現象は、裏を返せば幕内力士42人全員に優勝のチャンスがあるということだ。

【次ページ】 炎鵬が初の横綱、大関陣総当たりの地位に。

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