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秋山翔吾はレッズ待望のピースだ。
今はその力を周囲に「見せる」とき。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2020/03/06 11:50
3年総額2100万ドル(約22億7000万円)で契約したレッズの秋山翔吾。メジャー開幕へ向けてアピールの日々が続く。
守備も秋山の勲章のひとつ。
補殺は秋山の勲章のひとつだ。西武時代の外野補殺数は通算で68あるが、そのうち中継プレーなしでの直接送球による補殺は58%にも及ぶ40を記録している。そして'15、'16年は補殺数リーグ1位を誇り、9年間で7度もベスト3入りを果たしている。
ワンプレー、ワンプレーが勝負でありアピールの場所。彼にとってこのオープン戦の立ち位置である。
この試合では1番打者としても見せることにも成功した。'12年のサイ・ヤング賞左腕、デービッド・プライスと対戦し、初回はインサイドの厳しい球に手を出すことなくボールを見極め四球を選び、オープン戦初得点につなげた。
2回は若手右腕ライアン・モスレイから投手強襲の内野安打で出塁。3打席で2度の出塁に成功し、西武時代に記録した2度の出塁率.400越えを含む通算.376の高い出塁率の実力の片鱗も見せた。
「この何試合かの中で一番ボールの見え方が良かった。自分で振れるとか、ピッチャーのボールに対してコンタクトしに行けた。見逃したボールも含めてすごく良かったですね」
秋山はチーム待望の「1番・中堅」。
一歩ずつ適応への階段を昇りつつも、彼に油断はない。それが秋山なのだとも感じる。
「今日はたまたま良かった。次の試合になったら良くない可能性もある。いろいろな壁と言うか、こっちで見慣れないボールだったり、初めて見るピッチャーとか、日本ではそう言うのがなかった。そう言う中でどうやって対応して行くか。続くと良いなぁと思いますけど」
1970年代、強力打線を売りにビッグ・レッド・マシンの愛称でワールドシリーズ連覇を果たしたメジャーきっての古豪は今季8年ぶりの地区制覇を目指す。その課題として挙げられているのが「1番・中堅」のスポットだ。
日本で5年連続全試合出場を果たし、攻守に於いて「1番・中堅」で高い実績を残してきた男、それが秋山翔吾。だからこそ、レッズは彼を招いた。日本人野手の新風を巻き起こす存在として、奮闘に大きく期待したい。