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秋山翔吾はレッズ待望のピースだ。
今はその力を周囲に「見せる」とき。
posted2020/03/06 11:50
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
アリゾナ州グッドイヤー。同州でキャンプを張る15球団の中で最も西側に位置するこの地でシンシナティ・レッズがスプリングトレーニングを行っている。
3月4日(日本時間5日)現在、メジャーキャンプに参加するのは総勢61選手。この中から開幕ロースター26選手が選ばれるわけだが、埼玉西武ライオンズからフリーエージェントの権利を行使し移籍した秋山翔吾(31)は今、生き残りをかけて懸命に戦っている。その姿はまさに“必死”と言ってもいい。
3年総額2100万ドル(約22億7000万円)の契約を考えれば、開幕ロースター入りは怪我さえなければ間違いないと周囲(特にメディア)は考えがちだが、秋山にそんな悠長な考えは一切ない。日々が競争であり、戦いに勝ち残るためメジャー1年生は奮闘を続けている。
「やっぱりユニフォームを着てね、チームメイトに(自分の力を)『見せなきゃいけない』、コーチ、監督にも『見せなきゃいけない』。日々、結果を求めて『見せていかなきゃいけない立場』ですから」
キャンプ初の休日となった3日を前に秋山が残した成績は1番打者として5試合に先発出場し、14打数4安打、1四球、1得点。打率.286の成績は異国に渡り、初めて経験するメジャーキャンプとしては上々のスタートと言える。
「認められる」ための第一歩。
「中堅」として期待がかかる守備でも2日のドジャース戦では『見せる』ことに成功した。
3回2死。キケ・ヘルナンデスが放った左中間への安打にスタート良くダッシュし、素早く処理した秋山は正確な送球で二塁へワンバウンドのストライク送球。見事な補殺にスタンドからは大歓声が鳴り響いたが、それでも背番号4は喜びをひた隠し、無表情でクールに決めた。
「今日やった練習がああいう練習だった。それがすごく形になったのはベンチコーチも喜んでくれていたし、僕としてもすぐに実戦で出来たのは良かった。これはだんだんプレーヤーとして『認められてくる』、まずその一歩目としてはすごく落ち着いてプレーできたかなと思います」
中堅手として『見せる』ことに成功したワンプレーと言えるが、秋山は西武時代に5年連続を含む6度のゴールデングラブ賞を受賞している。その実力を考えれば、言葉通り『最初の一歩』に過ぎないと感じる。
「一番ベストは走られないことなんですよね、外野手としては。行かせない、行けないと思わせると言う。あそこで(打者走者が)チャレンジしてきたと言うのはまだ僕のことをプレーヤーとしてどう言う選手かわかっていないところもあったと思います」