GI馬クリソベリルは外を回らされ。

　この日の最後、第8レースで組まれたのがメインレースのサウジカップだった。

　日本国内では6戦6勝。GIのチャンピオンズCをも制したのがクリソベリルだ。今回は初めてのコンビとなるC・スミヨン騎手にいざなわれ、初海外での優勝を目指したが、終始馬群の外を回らされる格好となり苦戦を強いられた。7連勝の夢は途絶え、7着という現実が待っていた。音無調教師は言う。

「初めての長距離輸送で大幅に減ってしまった体を戻しつつ挑みましたが、スタートで後手を踏み、厳しい結果となってしまいました」

ルメールが明るく語ったこと。

　前走のチャンピオンズCではこのクリソベリルにクビだけ負けたゴールドドリームは、対クリソベリルという意味では雪辱を果たし、先着した。それでも結果は6着。ただ、直線半ばでは先頭も狙えるのではないか？　という位置まで進出するシーンがあり、決して悲観すべき内容ではなかった。騎乗したC・ルメール騎手はレース後、明るい表情で次のように語った。

「内枠（1番枠）だったので、コースロスのないように走る作戦でした。それがうまく行き、直線を向いた時には『勝てるのでは？』と思ったほどでした。距離のせいか最後は止まってしまったけど、頑張って走ってくれたと思います」

　こうして日本馬5頭が4つのレースに挑んだサウジアラビア遠征は、1勝、2着2回という結果に終わった。

　過去に日本人ホースマンが遠征をした事のない国で、いわばはっきりとした道しるべのない中、この成績を残した事は胸を張れる。日本馬の今後の更なる活躍が期待出来る結果と言えるだろう。