ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「10年後……どうなってるんだろう」
石川遼の焦燥、PGAツアー2戦を経て。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2020/03/04 11:40
PGAツアーにスポット参戦した石川遼。思うような結果が出ず、胸の内を話した。
日本から巣立ったライバルたち。
石川は日本ツアーからこのPGAツアーに巣立ったアジア出身選手の名前を並べた。
「裵相文や任成宰、キラデク・アフィバーンラト、ジャズ(ジェーンワタナノンド)もいずれそうなると思う。(松山)英樹はもちろんそう。彼らはスイングに高い再現性がある選手たち。僕のスイングは、実際は無駄が多くて、効率のいいスイングができていない」
奇しくもそう言った直後の日曜日に、初優勝をつかんだのは任だった。
どの選手も個性的なスイングの持ち主であるようで、インパクト前後の数十センチの動きは「みんな近いものがある。上の選手になればなるほど同じような動きになる」という。
「自分もそれが必要だと思って去年1年やってきた。日本では結果が出た。でもこっちではまだまだ違う。自分がそう思っている、圧倒的な差があると感じている限りは難しい。改善して、弱点を払拭しない限りは『よし』と自信を持ってできない」
「やっぱり自分はこっちでやりたい」
2年4カ月ぶりに本場でゴルフをして、石川が新たに発見したのは当時の自分の“見る目”の未熟さだった。
「ずっとアメリカにいたときは逆に分からなかった。この2試合で感じた衝撃を感じる頭も知識もなかった」
シード権を確保するために奔走する時間を長く過ごし、根本的な技術を積み上げることに傾倒できなかった。
もうひとつ、実感したのが「やっぱり自分はこっちでやりたい」という、もう一度PGAツアーを戦いたいという気持ちである。
「本当に……これから、じゃないですかね。今年で29(歳)。何年かかるかわからないけれど、そういう意味で違った自分を目指したい」
そう願うのであれば、これまでと同じように経由地点を何も日本ツアーだけに絞る必要もない。米国の下部ツアーや、欧州といった国外に視野を広げる選択肢もあっていい。あるいは新しい指導者や理論を頼ってもいい。
「10年後……どうなってるんだろう。本当にこれから、与えられた時間をどう使うか」
いつどこで、何を目指し、何を磨くか。それらはコースでの決断と同じで、ゴルファー次第だ。
国内外のトーナメント速報をいち早くお届け!!
「ゴルフダイジェスト・オンライン」 http://news.golfdigest.co.jp/